2022 Fiscal Year Annual Research Report
重鉱物の微小領域化学分析による津波堆積物と台風・高潮堆積物との判別手法の開発
Project/Area Number |
22K18874
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
渡邊 隆広 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究職 (40436994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏡味 沙耶 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究職 (10847130)
丹羽 正和 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究主幹 (90421685)
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Project Period (FY) |
2023-03-27 – 2023-03-31
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Keywords | 津波堆積物 / 高潮堆積物 / 地球化学的判別手法 / 防災・減災 / 化学分析 / 蛍光エックス線測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
津波堆積物の判別に関する手段や選択肢をさらに増加させることで、津波堆積物の検出技術の向上を目指す。地震・津波の防災に関する社会の意識は高く、科学的知見の蓄積は極めて重要である。しかし、地層中の津波堆積物の判別において、特に津波堆積物と台風・高潮堆積物等の他のイベント層との区別、地域差や地形により異なる特徴を持つ津波堆積物の判別、目視では判別できない泥質の津波堆積物の検出等は未だ困難である。従って、化学組成や鉱物組成をもとに津波堆積物を判別する手法の構築や改良が重要である。本研究では、まず、研究試料となる仙台平野、宮崎平野、静岡平野の堆積物試料の分取・確保を進めた。また、比較対象として静岡平野の過去の高潮堆積物試料を確保した。新たな研究試料としては、既報資料を整理し日本海側(若狭湾から能登周辺)での津波堆積物の探索を検討した。 令和4年度は地球化学的判別手法の拡充のため、静岡平野のボーリングコア試料を用いてポータブルXRFの適用試験を新たに実施した。ポータブルXRFにより計28元素の定量分析を行った。津波堆積物層ではストロンチウム/チタン比とクロム/チタン比の増加が見られ、さらに得られた地球化学データに対して主成分分析やクラスター分析等の統計解析を実施し、津波堆積物の化学的特徴の抽出に成功した。従って、短時間(1測定あたり数分程度)でデータが得られる本手法は、津波堆積物の化学的特徴を把握するために有効であることが示された。地球化学データのみではなく鉱物組成の情報も取得することで各元素の存在形態、また、津波堆積物の供給源や堆積過程の推定が可能になると期待される。また、津波堆積物に加えて、静岡平野の過去の高潮堆積物試料についても、ポータブルXRFによる地球化学データの取得、エックス線回折による鉱物組成データの蓄積を進めた。
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