2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K18876
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 竜也 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60374584)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 水滴発電機 / 表面処理 / 電気化学 / 金属材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、さまざまな表面処理手法を用いてアルミニウム表面に帯電層を形成したのち、これらの構造体に水滴を滴下した際、水と帯電層との接触帯電により発電する「水滴発電機」の作製を試みた。アルミニウム表面にアノード酸化皮膜(アルマイト)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)およびポリアセタール樹脂層を形成したのち、それぞれの表面にアルミニウムテープを貼り付けて回路を形成し、水滴発電機とした。これらの試料表面に超純水を滴下すると、いずれの発電機においても瞬間的な電圧および電流が生じた。電圧および電流の大きさは、帯電層の水の濡れ性や発電機の設置角度、滴下頻度、滴下高さなどに大きく依存した。特に、水滴が適度に濡れ広がったのちすぐに滑落する、滑落性の撥水表面を形成することが重要である。LEDを直列接続した回路基板と水滴発電機を接続することにより、LEDが連続点灯して発電エネルギーとして活用できることを明らかにした。水滴発電機を雨天の屋外に設置し、雨水によって発電できるか検討したところ、降水量が少ない霧雨に近い条件ではほとんど発電しなかった。一方、水滴発電機を屋根直下に設置したところ、屋根から落下する比較的大きな水滴が発電機に衝突した際に発電が生じることを確認した。以上の研究結果より、アルミニウム表面に帯電層を形成した水滴発電機によって、降雨時に発電デバイスとして利用できることを実証した。
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