2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Mn-based reentrant shape memory alloys
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22K18877
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
XU XIAO 東北大学, 工学研究科, 助教 (20781389)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 形状記憶合金 / リエントラント・マルテンサイト変態 / Mn基合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に、マルテンサイト(M)変態は冷却時に無拡散的に母相→M相の正変態が生じるが、代表者らは、CoCrGaSi形状記憶合金において冷却で母相→M相→母相の挙動を示す異常なM変態を報告し、リエントラント形状記憶合金と命名した。リエントラント形状記憶合金は学術面でも応用面でも大きな意味を持つが、その実現条件が厳しく、その結果、今のところ、CoCrGaSi合金でしか見つかっていない。本研究は素材コストの低いMn基合金に注目し、より安価である第2のリエントラント形状記憶合金の創製に挑戦する。本研究の1年目はまずMnZn基合金に注目し、合金状態図の実験的決定を行った。 Znを含む合金は高い蒸気圧を有するため、高周波誘導溶解やアーク溶解といった従来の方法では合金作製が困難のため、本研究は石英管を用いて電気炉で適切な温度で保持する方法を用いてMn-Zn全組成域の合金作製に成功した。これらの合金を用いて種々の温度において熱処理を行い、2相が得られた合金においてはEPMAによる組成分析を行った。さらに、DSCを用いることで不変系反応および固相線、液相線を決めることができた。これらの実験結果からMn-Zn2元系状態図を実験的に決めることができ、さらにリエントラント変態の出現が見込まれるbcc構造であるδMnの組成域を正確に決めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的調査が問題なく進み、計画通り研究がおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の第2年次では、MnZn合金において、bcc構造であるδMn領域に注目し、リエントラント・マルテンサイト変態を見出すことに挑戦する。予備実験では限られた合金組成において、変位型相変態と思われる組織は得られているが、その詳細はまだ分かっていない。 次年度はまずこの組成付近の合金を系統的に作製し、この変位型相変態がマルテンサイト変態になる可能性について調査する。また、リエントラント形状記憶合金の実現にはさらにリエントラント変態の出現および超弾性効果が必要である。リエントラント・マルテンサイト変態の実現には、磁気・構造相変態の絶妙なバランスが必要である。VやSi等bcc安定化元素およびAlやCu等fcc安定化元素を同時に添加し、マルテンサイト変態温度を低下させる。さらに、リエントラント・マルテンサイト変態の出現有無は、キュリー温度、自発磁化およびマルテンサイト変態のエントロピー変化等に大きく関係しているため、これらの物性値を添加元素ごとに調査する。 超弾性の実現には高い母相強度が必要であるため、低温熱処理による規則化およびNiとAlやNiとTi等の同時添加によるB2整合析出物の出現を目指す。ビッカース硬度計を用いて母相の強度を調べ、透過電子顕微鏡を用いて規則度および析出物の有無を調査する。また、サイクル熱処理もしくは長時間熱処理による単結晶を作製し、機械試験を行うことで超弾性特性の実現に挑戦する。
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Causes of Carryover |
次年度では合金作製のための物品費が増えると予想され、さらに規則度の調査には透過電子顕微鏡の使用料金が増えると予想したため、来年度の研究がスムーズに実施できるよう、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)