2023 Fiscal Year Research-status Report
無焼結セラミックス成形技術を用いた高イオン伝導材料開発への挑戦
Project/Area Number |
22K18883
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安井 伸太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40616687)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | イオン伝導体 / 無焼結 / 高結着 / 大気安定性 / 水系スラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
メカノケミカル法により合成したアモルファスLi2B4O7は非常に柔らかく室温圧粉工程にて粒子同士が変形して非常に成形性にすぐれる特性を有する。それらに水とリチウム塩(LiFSI)を混合することで、非常に分散性のよい水性スラリーを作製することが可能となった。このスラリーを乾燥させると紛体が得られ、塗布・室温乾燥工程にて固体シートを得ることが出来る。粉末は圧粉することで焼結することなく非常に緻密なペレットを作製することが出来る。ペレットおよびシートの両者ともにイオン伝導性を調査したところ、1~10 mS/cmのイオン伝導性を得ることが出来た。またこれらの活性化エネルギーは0.2eV程度と従来の固体酸化物イオン伝導体と比較して約半分~2/3程度と非常に小さく、温度に対して安定であることも分かった。イオン伝導性に幅があるのは水性スラリーにより作製していることで、内部に含水されている状況であることから、それらの水分量によって変化するためである。固体電解質としての性質を考慮すると、含水成分は取り除く必要がある。この材料系における含水成分は自由水とリチウム塩-母相の結合を担う結合水の2種に分類することが出来るが、前者を取り除き適切な結合水のみを残留させることで、完固体にすることが可能となる。通常の固体電解質はバインダー成分を混入させるが本材料系においてはアモルファスの母相がその役割を担うことから基本的にはバインダフリーで作製することが可能となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたイオン伝導性能の約10倍の伝導性が得られ、非常に期待が持てる結果となったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
予想以上のイオン伝導性が確保できたため、学術的にそれらを理解するための詳細解析を行う。さらには母相の合成手法の選択性、リチウム塩の選択性、またそれらに対するイオンで同性能を評価することで、網羅的な理解を追究する。
|
Causes of Carryover |
今年度はほぼ予想通りの使用であったが、初年度の繰り越し額があったためにそれにより次年度使用額が生じた。当初の予想以上に研究が進んでいるために、新たにNa系材料への展開を行うことを考えており、繰越金に関してはそれらの消耗品の購入および成果発表に関して使用する予定である。
|