2022 Fiscal Year Research-status Report
ベルト型高圧装置によるバインダーレスcBNの超高圧SPS焼結
Project/Area Number |
22K18892
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
谷口 尚 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 拠点長 (80354413)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 超高圧焼結 / スパークプラズマ焼結 / 立方晶窒化ホウ素 / ダイヤモンド |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、各種金型やCFRPの接合部材(Ti-Al合金)等の構造材料、難削材の更なる高強度化に応じた加工工具として、超硬質材料である立方晶窒化ホウ素(cBN)びダイヤモンドの焼結体の高品位化が急務である。本研究ではパルス通電による電磁エネルギー、原料粒子間に生じる放電プラズマエネルギーを焼結の駆動力として活用するSPS焼結法をベルト型高圧発生 装置と組み合わせ、5~8万気圧力領域において展開する。 2022年度は5-6万気圧領域において、各種粒径のcBN粒子のSPS直接焼結を行った。はじめに高圧下での放電プラズマ焼結においてもブローアウト等を伴わずに1800℃領域での安定な焼結条件を確立した。高圧SPS焼結により焼結助剤を一切含まずに自立したcBN焼結体が得られ、投入電力に応じた硬度(ビッカース硬度)の相関が得られている。最適と見込まれる条件で得たcBN焼結体の硬度は45GPa程度であり、8万気圧、2000℃で得られる高品位焼結体の硬度の2割程度低い値となった。原料cBN粒子は電気的に絶縁体であるため、粒子界面で所望のスパークプラズマが放電焼結時に生じていない可能性がある。 Beドープによる導電性を付与したcBN粒子(p型半導体)を5万気圧領域で合成し、相当量の精製に着手した。ホウ素ドープダイヤモンド粒子も合わせて調整し、SPS焼結原料としての準備も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベルト型高圧装置による6万気圧領域でのスパークプラズマ焼結のための安定な試料構成を確立し、実際種々の粒子径のcBNバインダーレス焼結体を合成した。スパークプラズマ焼結の高圧合成条件の獲得がなされ、経過は概ね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度に検証したcBN粒子の高圧下スパークプラズマ焼結体の硬度は理想値よりも2割程度低く、更なる高品位化を目指してBeドープによる導電性を付与したcBN粒子(p型半導体)の調整と、そのスパークプラズマ放電焼結に挑む。
|
Causes of Carryover |
超高圧SPS焼結のための試料構成を確立し、バインダーレス焼結体を合成したが、導電性試料の合成に時間を要し、本格的な高圧焼結実験の回数を、次年度に持ち越すことになった為。また、コロナ渦により、国際会議での発表を初年度は控え、旅費を次年度に持ち越した。
|