2023 Fiscal Year Annual Research Report
種結晶からエピ成長まで一気通貫のバルク結晶技術の実現に向けたAlNロッドの開発
Project/Area Number |
22K18896
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福山 博之 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40252259)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | AlN針状結晶 / 結晶成長 / 気相成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、Fe-Al合金融液直上から針状のAlN結晶が生成していることを見いだした。今年度は、この針状AlN結晶の成長機構に着目し、Fe-Al合金融液から蒸発するAlを原料とした針状AlN結晶成長に与える温度の影響について考察した。 【実験】純度4NのFeおよびAlを用い、アーク溶解によりFe- 20 mol% Al合金を作製した。作製した合金を入れたAlN坩堝を黒鉛炉内に設置し、炉内をロータリーポンプで真空排気した後、Ar-N2ガスを用いて復圧した。その後、フラックス中でAlNが熱力学的な安定相として存在しない温度である1760~1880 °CまでFe-Al合金を昇温した。昇温後Ar-N2ガスを炉内に1.0 L/minの流量で供給し、24 h保持した。その後、ガス供給を継続しながら炉内を室温まで冷却した。実験後、坩堝内壁に生成した針状AlN結晶を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。 【結果】すべての温度範囲でAlN針状結晶の成長が確認された。低温においては[100]方向に成長した三角柱状の結晶が多く観察された一方、高温では[001]方向に成長した六角柱状の結晶が多く観察された。また、結晶の生成密度は成長温度の上昇とともに小さくなった。これは、低温ほど結晶生成の駆動力が大きく、核生成頻度が大きいことが原因と考えられる。 【考察】針状結晶端にFeを含む液滴が付着していることが確認されたことから本手法の結晶生成のメカニズムは、Fe-Al系蒸気が一旦凝縮し、液相を経て結晶が成長するVLS(Vapor Liquid Solid)成長であると考えられる。一方、高温で長時間保持すると徐々にAlN結晶は減少していくことが観察された。したがって、AlN結晶は昇温中にVLS成長機構で生成し、高温で保持中には、不安定になり徐々に気相中に分解していったものと考えれる。
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