2023 Fiscal Year Annual Research Report
気相錯体形成の利用による白金族金属の揮発分離精製への挑戦
Project/Area Number |
22K18906
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷ノ内 勇樹 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40644521)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 白金族金属 / 塩化反応 / 揮発分離 / 元素分離法 / リサイクルプロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
高度資源循環型社会の実現と我が国の産業競争力の維持のために、白金族金属のリサイクル技術の高度化が求められている。本研究では、リードタイムが短くかつ有害廃液の発生が最小限な白金族金属分離精製技術の創製に向けて、白金族金属が塩化物系気相錯体を形成して効率良く揮発する反応条件を探索した。 本年度は、(1)昨年度に考案した白金族金属の新規塩化手法の有用性と反応機構をより深く調査するとともに、(2)各種白金族金属塩化物が塩化アルミニウムとの間で気相錯体を形成するかを検証した。 (1)については、化学ポテンシャル図などを用いた熱力学解析とそれに基づく実証実験の結果、高酸素ポテンシャル雰囲気で塩化マグネシウムを作用させると金属ロジウムを直接かつ迅速に塩化できることを見出した。また、本塩化処理は、パラジウムにも適応できることが確認された。塩素ガスと比べると、塩化マグネシウムは取り扱いが容易であるとともに、有毒性が低い。塩化マグネシウムを用いる塩化処理は、各種スクラップに含まれている白金族金属を酸浸出が容易な状態へと変換する技術としても利用できる可能性が高い。 (2)については、塩化白金、塩化パラジウム、塩化ロジウムを取り上げて、塩化アルミニウムの共存による揮発性の変化を調査した。その結果、塩化アルミニウムが共存すると塩化白金と塩化パラジウムは350℃程度で揮発輸送されることが確かめられた。一方、塩化ロジウムは、塩化アルミニウムが共存していても、同じ温度域では揮発しなかった。塩化アルミニウムとの気相錯体形成を利用することで、白金族金属同士を分離できる可能性が示された。
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Research Products
(6 results)