2022 Fiscal Year Research-status Report
New development of the theory of martensitic transformation through three-dimensional analysis on lath martensite in steels
Project/Area Number |
22K18910
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
柴田 曉伸 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 上席グループリーダー (60451994)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | マルテンサイト / 鉄鋼材料 / 3次元解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,FIB-SEMシリアルセクショニングにより,変態メカニズムに直結した特徴であるラスマルテンサイトの形態3次元情報や晶癖面方位などの結晶学的特徴を詳細に解析し,その結果に基づいてマルテンサイト変態の新たな変態理論を確立することを目指している. 本年度は,IF (interstitial free) 鋼,低炭素鋼 (Fe-0.2C) を用いた.FIB加工により~25μm × 25μm ×25μm程度のピラー形状試験片を作製し,FIB-SEMシリアルセクショニングを実施した.また薄膜試料をFIBにより作製し,TEM・STEM解析を行った. ラス3次元形態を解析したところ,従来ラス状と呼ばれていた最小組織単位のマルテンサイト晶は幅に対して厚さが著しく薄い板状の形態を呈しており,それぞれのマルテンサイト晶が複雑に入り組んでいる領域が存在することがわかった. 晶癖面方位を二面トレース解析によって調べたところ,IF鋼では(5 7 5)A から(1 1 1)A近傍に分布しているのに対し,0.2C鋼ではマルテンサイト変態の現象論から予測される方位 (0.441 0.799 0.411)Aに近いことがわかった.TEM,STEMにより内部微視組織を観察した結果,IF鋼では湾曲しタングルした転位に加えて,転位セル組織が発達しており,一つのマルテンサイト晶内に最大5 °程度の方位差が存在していた.一方,0.2C鋼では転位セルがあまり発達していなかったが,焼入れままの状態でセメンタイトが析出していた.以上より,焼入れ後の内部微視組織は,変態後の冷却中に生じるオートテンパーの影響を大きく受けたものであることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のようにIF鋼および低炭素鋼を用いた解析を実施し,3次元形態や結晶学的特徴を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で解析手法を確立したため,次年度以降にその手法を用いて中炭素鋼などの種々の材料で生成するマルテンサイト組織を解析していく.
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Causes of Carryover |
旅費・人件費などの支出額が予定よりも少なくなってしまった.次年度は国際会議などに積極的に参加して,成果発表をしていく.
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