2023 Fiscal Year Annual Research Report
酸素欠陥サイトを足場とする異種アニオン導入による新規固体触媒の創成
Project/Area Number |
22K18914
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北野 政明 東京工業大学, 元素戦略MDX研究センター, 教授 (50470117)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 酸素欠陥 / ナトリウムナフタレニド / 異種アニオン導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、強力な還元剤であるナトリウムナフタレニドを利用した液層還元法により金属酸化物への高濃度酸素欠陥導入を行い、その酸素欠陥を異種アニオン導入の足場として利用することで高濃度に異種アニオン種を導入した新規固体触媒の開発を行うことを目的としている。本年度は、二酸化チタンの他に、様々な金属酸化物をナトリウムナフタレニドで処理することで酸素欠陥導入を試みた。ZrO2やNb2O5などに対して本手法では酸素欠陥をほとんど導入できず、リン酸担持を行った際に未処理の酸化物と同程度しかリン酸が担持されなかった。一方、CeO2の場合、酸素欠陥が導入できリン酸導入量も未処理の酸化物と比較して10倍程度向上した。すなわち、還元性の酸化物に対してはこの手法は有用であり、酸素欠陥を足場とするリン酸基導入を高密度に行えることが明らかとなった。このような材料を触媒として用い、キシロースからフルフラールへの変換反応を行ったところ、ZrO2やNb2O5などでは、通常のリン酸担持酸化物とほとんど触媒活性が変わらず、CeO2の場合は高密度にリン酸基導入できたにもかかわらず、ほとんど触媒活性を示さない結果となった。一方、リン酸担持酸化チタンよりも高い選択性でフルフラールが得られ、導入したリン酸基量が多い触媒ほど高選択的にフルフラールを合成できることが明らかとなった。さらに、本手法で作成したリン酸担持酸化チタンは、通常のリン酸担持酸化チタンよりも反応後のリン酸基のリーチングを抑える効果があることも明らかとなった。
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