2022 Fiscal Year Research-status Report
結合力スペクトルによる生体分子の識別とインテリジェント分子診断
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22K18917
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
浮田 芳昭 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40578100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 英俊 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50221742)
大竹 真央 東京都立大学, システムデザイン研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (20973275)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 分子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
【バックグラウンドの理解についての取り組み】力学測定のために生体分子を固相に固定化する必要がある。これまでの研究によって、アミノシランによるガラス表面の修飾技術は確立されていた。しかし、表面へのアミン導入量や、アミン基の定量的な測定を実現できれば、表面における力学現象をより深く考察できると考え、この技術の確立に取り組んだ。開発した手法は蛍光色素によるアミンの定量法であり、当初ガラス基板で試みたところ蛍光の検出が難しかったため、シリカ粒子を基材とすることにした。当初、この方法では蛍光試薬の反応後にバックグラウンドが高くなり定量評価が難しくなる問題があったが、色々な検討を重ねたところ、適切な洗浄条件を設定することによって、バックグラウンドを顕著に低減できることもわかった。これにより、シリカ表面のアミン化と脱アミンの反応を簡便かつ定量的に評価できる技術を確立できた。 【分子間相互作用測定システムの開発についての取り組み】当初はストロボスコープを基盤とするシステムを開発する計画であったが、小型な観察用顕微鏡を開発して遠心機に直接搭載してリアルタイム観察するシステムを実現した。小型コンピューターによって、画像と重力の同時測定を実現しており、システムはほぼ完成していると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表面反応の定量技術の開発で手間取り、やや遅れたが問題が解決できたので、今後は加速できると思われる。システム開発はスムーズに完了でき、当初の予定よりも大幅に予算を節約できた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立できた表面測定技術を活用して、表面の力学現象解析を進めていく。具体的には、シリカ粒子表面へのアミン導入量とファンデルワールス力の関係や、脱アミン反応がファンデルワールス力の発生に及ぼす影響を定量的に調べる。これに対し、ポリエチレングリコールなどのポリマーの導入や抗体の修飾を段階的に行い、分子引張試験の反応系へと徐々に系を近づけていく。 また、シリカ基材以外にも金コーティング基材は生体分子の修飾技術も確立されており、多くの知見がある。このため、金蒸着基板上への分子修飾も今後検討していく計画である。 定量的な力学計測としては、重力による測定が最も簡便なため、基本的にはこれを主に使用しつつ、適宜遠心力による力学スペクトルの計測も実施する。
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Causes of Carryover |
測定システムの構成を変更することで予定よりも安価に実現できた。ただ、当初計画のシステムの構築することも考えられるため、当初予定した支出が生じる可能性もある。
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