2023 Fiscal Year Annual Research Report
特異な層間吸着能を持つ層状シリケートを利用したバイオエタノール濃縮プロセスの開発
Project/Area Number |
22K18930
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
山本 勝俊 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (60343042)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 有機-無機ハイブリッド / 層状化合物 / バイオエタノール / 親疎水性 / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有機-無機ハイブリッド型層状アルミノシリケートの特異な層間吸着能を応用し、低濃度バイオエタノールからエタノールを分離・濃縮する、新しい低コストプロセスの開発を目的とする。これまでの研究で、ビニルトリメトキシシランを原料とする層状アルミノシリケートKCS-27の合成に成功し、このKCS-27が一般的なバイオエタノールより希薄な3%エタノール水溶液からでもエタノールを層間吸着し、吸着したエタノールは大気下、室温で2時間程度でほぼ完全に脱離することを見出している。 本年度はKCS-27を超える性能を示す材料の発掘を目指し、様々な有機シランを原料に用いた層状シリケート材料開発を継続したが、希薄なエタノール水溶液からのエタノール吸着能においてKCS-27を超える物質は得られなかった。KCS-27は他の材料とは異なり希薄なエタノール水溶液にも高い分散性を示し、固液接触面積を広くとることができるため、希薄な水溶液からでもエタノールを吸着できるのだと考えられる。KCS-27のシリケート層表面のビニル基が一部開裂してシラノール基となっていることが確認でき、そのためシリケート層表面がより親水的になり、水への分散性が高くなったと考えられる。 KCS-27に吸着したエタノールは30℃までにほぼ脱離するのに対し、吸着した水は30℃から65℃の領域で脱離することが熱重量分析で明らかになったことから、30℃付近で脱離操作を行うことによりエタノールの選択的な回収が期待できる。また、エタノールの吸着・脱離操作を10回繰り返した後もKCS-27の結晶構造の劣化は見られなかった。バッチサイズの大きな合成でも問題なくKCS-27が得られることもすでに明らかにしており、これらの実験事実から、ラボスケールではエタノールの吸着濃縮は可能であり、今後のベンチスケールでの開発も期待できると考えられる。
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