2023 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of ultra-high resolution photoinduced force microscopy that can measure chirality of materials and monatomic observation conditions
Project/Area Number |
22K18946
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 康弘 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40206404)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 光誘起力顕微鏡光 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラリティーは、分子や結晶の構造が、その鏡像と重ね合わすことのできない性質であり、生化学的な過程に影響を与えるほか、創薬において極めて重要な役割を果たすことが広く知られている。これまで、物質近傍に局在する光(近接場光)を検出し、回折限界を超える近接場キラル光学顕微鏡を実現しようとする試みが行われてきた。しかし、先鋭化した光ファイバや金属探針を用いて近接場光を伝搬光に変換する方式では、原子分解能(0.2nm以下)での観察は困難であった。 本研究の目的は、物質表面の構造とキラリティーを原子分解能で観察可能な次世代の近接場キラル光学顕微鏡を開発すると共に、その原子分解能観察の条件を解明することにある。そこで、以下の課題について検討した。 1)キラリティーを測定するための試料準備 キラリティーを高感度に測定するため、探針による増強電場を用いる。試料として、銀(Ag)表面上の銅フタロシアニン分子を取り上げた。 2)キラリティーの最適観察条件の実験的検討 キラリティーによる力を最も高感度に測定できる条件を実験的に検討した。キラリティーによる力は、カンチレバーの周波数シフトに現れる変調成分の探針・試料間距離依存性を数値積分することにより導出した。 3)近接場キラル光学顕微鏡の原子分解能観察の実証 銅フタロシアニン分子のキラリティーの分布を原子スケールで超高感度・超高分解能に観察できることを実証した。 研究期間全体を通じて実施した研究成果としては、右回り円偏光と左回り円偏光の光照射に対して、銅フタロシアニン分子の光誘起力像のパターンに違いを見出すことができた。
|
Research Products
(4 results)