2022 Fiscal Year Research-status Report
Electrofusion of cells with different sizes by the asymmetric electric filed formed in microwells
Project/Area Number |
22K18952
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
安川 智之 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (40361167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅登 兵庫県立大学, 理学研究科, 准教授 (60574796)
湊元 幹太 三重大学, 工学研究科, 教授 (80362359)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 誘電泳動 / 細胞融合 / 電気パルス / ハイブリドーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「誘電泳動(DEP)を利用してマイクロウェル内に抗体産生B細胞およびミエローマ細胞のペアアレイを作製」し,「電気パルス融合により高効率に抗体産生ハイブリドーマを形成する技術の開発」を目的とする.本年度は,この目的を達成するために,「誘電泳動デバイスの作製と異種細胞の配向ペア形成」,「電気パルス融合における印加電圧強度と細胞破砕の連関の調査」および「抗体産生能を有する細胞の識別と負の誘電泳動による選択的回収」に取り組んだ. 上下基板間のスペースに細胞の懸濁液を導入し,右下電極に正の誘電泳動(強電場領域への引力)の作用する周波数領域の交流電圧を印加すると,細胞をウェル右下に位置選択的に捕捉できた.次に,異なる種類の細胞を導入し,左下電極に交流電圧を印加すると細胞をウェル左下領域に捕捉できた.これにより,数分で90%以上のウェルアレイ内にB細胞(直径7 μm)とミエローマ細胞(直径15 μm)を位置制御して配向した細胞ペアを形成することが可能となった. 直径の小さいB細胞を捕捉した側の電極に電気パルスを印加すると,ウェル内に左右非対称の不均一電場を形成することが可能であり,大きさの異なる両細胞を融合できた.しかし,電極エッジに接触した細胞の破砕率が高く融合の効率はわずかであった.電場シミュレーションから電極エッジ極近傍において極めて強い電場が形成されることがわかった.そこで,PDMSエマルジョンをスピンコートすることによりウェル底面に薄膜を作製した.これにより,細胞の破砕率を大幅に抑制することが可能になった. 負の誘電泳動を用いた細胞の選択的回収に取り組み,アレイ化細胞の中から標的とする細胞のみをウェル外へと放出する,または,標的細胞だけをウェル内に保持することを可能とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画で予定していた3項目のすべてに取り組んだ.「誘電泳動デバイスの作製と異種細胞の配向ペア形成」では,交互くし型マイクロバンドアレイ電極の電極ギャップに長方形型のマイクロウェルアレイを作製し,その上面にバンドアレイ電極を設置して細胞融合用の誘電泳動デバイスを作製した.これにより,1つの長方形型のウェルの下面両端に2電極と上面に1電極の計3電極を配置した構造とし.ウェル内への位置選択的な異種細胞の選択配置を達成した.予定通り,細胞の懸濁液の導入,電圧の印加を繰り返すだけで高効率に異種細胞ペアを形成でき当初の予定を達成できている.次に,「電気パルス細胞融合」では,上記の細胞捕捉に使用した3電極をそのまま電気パルス形成用に使用して左右非対称の不均一電場を形成し,異種細胞を融合できることを示した.ウェル内に左右対称の電場を形成したところ,電圧強度が小さい場合は細胞融合が進行せず,電圧が大きい場合には直径の大きなミエローマ細胞の破砕が高確率で起こることを示した.これにより,細胞直径の異なる細胞を融合する場合には,左右非対称が有効であることがわかった.さらに,細胞破砕を抑制するためにウェル底面にPDMSエマルジョン薄膜を形成した.これにより,細胞の破砕率を低減できる可能性を示した.当初の予想以上に電極エッジに接触した細胞の破砕率が高かったが,この薄膜形成により高効率細胞融合を達成できる可能性を示せた.最後に,「融合細胞の抗体産生能の評価と選択的回収」に取り組んだ.抗体を産生するハイブリドーマとミエローマ細胞の混合懸濁液をウェル内に捕捉して配置し,ウェル内に固定化した抗原に細胞から分泌される抗体を捕捉してハイブリドーマの識別を行った.さらに,抗体分泌能の高い細胞を選択的にウェル外へと放出して回収することができた.以上のことから,本研究は当初予定通り進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度,「異種細胞の配向ペア形成」について,予定通り高効率に異種細胞ペアアレイを形成できた.よって,本年度は,「電気パルス細胞融合」について重点的に研究を遂行する.異種細胞ペアアレイの形成とそのペアの電気パルス融合は連続して評価することができたが,抗体産生ハイブリドーマの識別と選択的回収は単独で実施していた.そこで,本年度は,融合細胞の抗体産生能の評価と回収に取り組む. 「電気パルス細胞融合」では,昨年度,薄膜形成した電極デバイスが細胞破砕の抑制に有効であることがわかったので,積極的に薄膜形成したウェルデバイスを使用する.このウェルアレイに異種細胞ペアを作製し,異種細胞の電気パルス融合における各種パラメータ(印加電圧,電圧パルス幅,パルスインターバル,印加回数等の最適化を行う.さらに,電気パルス融合では,標的の異種細胞が確実に接触している条件が必須となる.そこで,正の誘電泳動で作製した異種細胞ペアに負の誘電泳動を作用させることにより,両細胞をウェル中央部分に強制的に配置して接触面積を向上させたペアを形成する.この際,ウェル外への細胞の放出が問題になると予想できる.これは,上面基板の電圧を増加させることにより,標的細胞ペアのみをウェル中央部に配置可能とする. この電気パルス融合により形成したハイブリドーマの抗体産生能を評価し,高分泌能を有する抗体の選択的な回収に取り組む.融合により得られたハイブリドーマをインキュベートし,ハイブリドーマから分泌される抗体をウェル底面に固定化した抗原で捕捉して分泌能を評価する.さらに,高分泌能を有する細胞を負の誘電泳動により選択的にウェル外へと放出する.これにより,異種細胞ペア形成,電気パルス融合,高機能性細胞の識別と回収を達成できるチップデバイスを開発する.
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Research Products
(29 results)
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[Journal Article] Behavior of Biopolymers, Cytoskeleton, DNA, and Phospholipids, that Exert Self-organization, Shown in the Liquid-Liquid Phase Separation2023
Author(s)
Kingo TAKIGUCHI, Hiroki SAKUTA, Masahito HAYASHI, Tatsuyuki WAIZUMI, Kanta TSUMOTO, Kenichi YOSHIKAWA
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Journal Title
Seibutsu Butsuri
Volume: 63
Pages: 5-11
DOI
Peer Reviewed
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