2022 Fiscal Year Research-status Report
血中循環がん細胞を標的とした転移抑止候補物質の探索
Project/Area Number |
22K18960
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金 賢徹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70514107)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | がん / 化合物スクリーニング / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ケミカルスクリーニング法と原子間力顕微鏡(atomic force microscope, AFM)を用いた細胞間接着力計測技術を駆使して、天然資源ライブラリおよび化合物ライブラリの中から、血中循環がん細胞(circulating tumor cell, CTC)のクラスター(塊)化や血管内皮細胞への接着を阻害する物質を探索することにより、CTCを標的として日常的にがん転移を阻害する機能性成分・薬剤となり得るリード化合物候補を特定することが目的である。研究第1年度目は、天然資源由来のいくつかの化合物を最初の候補とした上で、CTCクラスター化の阻害効果について評価を行った。複数種類のがん細胞株を用意し、低接着基板で培養を行うことによりがん細胞がクラスターを形成する。本培養条件下で、天然資源由来化合物を様々な条件下(濃度、時間、添加タイミング)で添加することによりクラスター阻害効果を評価した結果、いくつかの化合物でクラスター阻害効果が確認された。今後は阻害効果が確認された化合物に対して、AFM計測をはじめとする様々な評価法を適用することにより、がん細胞クラスター化のさらなる確認と細胞内分子レベルでのメカニズム解明を推進する予定である。以上のように、研究第1年度は本研究の目的を達成しうるいくつかの候補化合物の選択に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究第1年度目では天然資源由来化合物を候補とし、がん細胞クラスター化を阻害する物質探索を行った結果、候補となり得る化合物の選択に成功したため、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
候補物質の選択に成功したため、今後はAFM計測を含む様々な評価を行うことにより、候補化合物のがん細胞クラスター化阻害効果をさらに確実なものとする。さらに、化合物作用について、細胞内分子レベルでのメカニズム探索を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画の予算額に対して大きな差額は無いと考えるが、情報収集などに関連する旅費がCOVID-19の影響がありオンライン化されたこともあり、当初想定より少なく済んだこと、また化合物同定が順調に進み条件検討に要する消耗品費が軽減されたことが差額の原因と考える。第2年度以降は、化合物評価などを重点的に行うと共に、得られた成果については積極的な発表を行う。
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