2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of observation conditions of Raman vibrational levels with atomic resolution by photoinduced force microscopy
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22K18970
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 艶君 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50379137)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 光誘起力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラマン散乱光に関する貴重な知見は、分子の構造の同定を容易にし、結晶の配向や結晶性、応力・歪に関する情報を提供する。しかし、これまでに原子スケールでこれを直接観察した例はない。本研究の目的は、物質表面の構造と振動準位を原子分解能で観察可能な次世代の近接場ラマン光学顕微鏡を開発すると共に、その原子分解能観察の条件を解明することにある。具体的課題は、以下の3点である。1)ラマン光を力として原子分解能で観察するための条件を理論的・実験的に解明する。2)現有の極低温環境で動作する光誘起力顕微鏡の様々な構成要素を低ノイズ化し、ラマン光を力として原子分解能で測定する。3)有機分子の分子振動が、どのように画像化されるかを理論的・実験的に解明する。本年度は、以下の課題について検討した。 1)ラマン光の最適観察条件の理論的検討 ラマン光を高感度に測定するために制限している因子(ラマン光から力への変換効率や、レーザー光の線幅、カンチレバーの変位検出計の雑音、カンチレバーのバネ定数や振動振幅などの測定条件)を理論的に検討し、高感度測定のための条件を求めた。 2)カンチレバーの変位検出計の低ノイズ化 ラマン光を高感度に測定するため、カンチレバーの変位検出計を低ノイズ化した。具体的には、光源の半導体レーザへの戻り光を低減し、変位検出計を低ノイズ化した。 3)誘導ラマン効果を用いる光照射系の実現 ラマン光を効率的に励起するため、誘導ラマン効果を用いた光照射系を実現する。この場合、照射する2波長の光(ポンプ光とストークス光)のエネルギー差を分子の振動エネルギーに一致させることができるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、まず、理論的にラマン光を高感度に測定するために制限している因子(ラマン光から力への変換効率や、レーザー光の線幅、カンチレバーの変位検出計の雑音、カンチレバーのバネ定数や振動振幅などの測定条件)を明らかにした。また、 2)カンチレバーの変位検出計の低ノイズ化 ラマン光を高感度に測定するため、カンチレバーの変位検出計を低ノイズ化した。具体的には、光源の半導体レーザへの戻り光を低減し、変位検出計を低ノイズ化し、ラマン光を高感度に測定できるように実験的な準備を行った。このように本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、下記の課題について研究する予定である。 1)ラマン光測定のための試料準備 ラマン光を効率的に励起するため、ギャップモードによる増強電場を用いる。試料として、銀(Ag)の(001)表面上に吸着させた銅フタロシアニン分子やペンタセン分子を取り上げる。金属探針としては、金(Au)コート探針を用いる。 2)ラマン光の最適観察条件の実験的検討 ラマン光による力を最も高感度に測定できる条件を実験的に検討する。ラマン光による力は、カンチレバーの周波数シフトに現れる変調成分の探針・試料間距離依存性より導出する。 3)近接場ラマン光学顕微鏡の原子分解能観察の実証 銅フタロシアニン分子のラマン光の分布を原子スケールで超高感度・超高分解能に観察できることを世界で初めて実証する。また、この分子どのように撮像されるかを理論的・実験的に検討し、画像化機構を解明する。
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Research Products
(6 results)