2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of highly sensitive real-time monitoring biosensors using asynchronous optical sampling picosecond ultrasonics
Project/Area Number |
22K18973
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長久保 白 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (70751113)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ピコ秒超音波法 / 非同期計測 / バイオセンサ / リアルタイムモニタリング / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は非同期ピコ秒超音波法とナノ自立薄膜を組み合わせることにより、GHz-THz帯の超音波を用いた高感度・無標識・リアルタイムバイオセンサを開発することである。病気の診断や創薬の分野において特定のウィルスやタンパク質を検出する技術は欠かせない。特に高感度・無標識・リアルタイム・ハイスループットなセンサの開発が重要である。つまり蛍光物質などの標識剤を用いずに多数の検体を高感度で検査可能で、その反応過程をリアルタイムで観察することができるセンサの開発は未だに発展の余地がある。 本年は昨年までの実績に基づいて算出した励起・検出効率が高い金属膜中における温度上昇の影響まで見積もった。ピコ秒超音波法はフェムト秒パルスレーザを用いて試料を瞬間的に加熱することによってサブTHzオーダーの超音波を発生させる手法である。従って原理的に温度上昇は避けられず、あまり温度上昇が高いとタンパク質が失活しバイオセンサとして使用することができない。そこで輸送行列を用いた熱伝導モデル計算を解き、数値計算的にレーザ照射面およびタンパク質固定面側の温度上昇を見積もった。その結果、レーザ照射面は瞬間的に10度以上の温度上昇が生じる場合においても裏面側における温度上昇は高くても1度程度になることを示した。 また抗原抗体反応のモデルとしてプロテインAと免疫グロブリンGの吸着反応を非同期ピコ秒超音波法を用いてモニタリングした。振動子には厚さ100 nmの自立SiNの上にCrを2nm、Auを55 nm成膜したものを用いた。このような振動子上に自己組織化単分子膜を介してプロテインAを固定化し、10, 100 ng/mlの濃度の免疫グロブリンG溶液をフローまたは滴下した。その際の共振周波数の変化をモニタリングし、吸着前後で最大約1%(=10,000 ppm)も周波数が低下する変化の検出に成功した。
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