2022 Fiscal Year Research-status Report
電子ビームによるサブミクロン局在光可視化技術の開発研究
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22K18974
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 順 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 教授 (40335071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 修平 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 技術職員 (30838503)
近藤 正彦 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90403170)
森藤 正人 大阪大学, 大学院工学研究科, 招へい准教授 (00230144)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 局在光 / パルス電子ビーム / 小角散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題における実験は代表者所属部局に設置されているパルス電子顕微鏡を用いる必要があり、加えてフェムト秒レーザーによるポンプ光を電顕内試料位置で1μm程度まで集光する必要がある。このための特殊試料ホルダーの設計を行い、部材の購入と業者による加工作業の発注を行ったが、コロナ禍などの要因に伴う世界的な物流停滞の影響を受けて年度内には完成しなかった。実験に必要なハードウェア的環境が整うまでの間、1)局在光の分布を電子線プローブで自動計測するためのプログラム開発、2)計測対象となるフォトニック結晶の作製と電子顕微鏡試料ホルダーへの設置技術の開発、3)パルス電子線照射の調整作業と動作検証、などを並行して進めた。1)に関しては、局在光分布を電子プローブでスキャンするように電子顕微鏡の電磁石レンズを制御し、その動きと同期して電子回折図形を撮影するようにカメラも制御するためのスクリプトを開発した。2)に関しては、分担者(近藤)の研究室で確立されている技術を用いて、計測に用いる厚さ約300nmのスラブ状のフォトニック結晶を作製した。このスラブ領域を集束イオンビーム研磨装置(FIB)で切り落として金属ニードルでピックアップし、電子顕微鏡観察用の銅グリッドメッシュに固定することに成功した。3)に関しては、パルス電子線制御の検証も兼ねた応用計測として、光誘起相転移物質であるTi3O5へのレーザーパルス照射を用いたポンププローブ測定により、相転移の時間分解計測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本課題研究の遂行に必須であるパルス電子顕微鏡用特殊試料ホルダーに関して、2022年6月末に交付内定通知を受け取った直後に改造のもととなる汎用試料ホルダーを海外メーカーに発注したが、コロナ禍などの要因に伴う世界的な物流停滞の影響を受けて納品までに4ヶ月ほどを要した。その後、汎用ホルダーの採寸結果に基づいて改造設計図を作成し、必要な部材の手配と加工作業を業者に発注しているが、同様の理由により年度内にホルダーを完成することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度中に完成できなかった特殊試料ホルダーは2023年度5月ごろに出来上がる予定であり、その後パルス電子顕微鏡を用いた計測を本格的に行う。また進捗次第では、異なる構造のフォトニック結晶の作製とFDTD計算、実験による検証を行い、本手法の利点や改善点を調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度中に完成を予定していた特殊試料ホルダーの作製が終わらず、必要となる部品代や加工料金の一部を持ち越すこととなった。これらは次年度に本来の目的として使用する予定であるが、予想よりも少ない工程で完成できた場合は、課題遂行に必要となるその他の消耗品購入や成果発表のための旅費などに充てる。
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