2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of two-photon photoelectron yield spectroscopy towards determination of electron affinity of functional materials in air.
Project/Area Number |
22K18977
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
細貝 拓也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90613513)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 電子親和力 / 機能性材料 / 光電子収量分光法 / 二光子吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原子や分子にとって基本的な物理量でありながらも実験的な決定が容易でない電子親和力(EA:Electron affinity)の大気下での非破壊決定手法の構築を目指している。初年度となる本年度は、実験装置に必要な器具として光源(スーパーコンティニュー光源)と光学部品(ミラーやレンズ、バンドパスフィルター等およびそれらのホルダー)、光学遅延ステージ、フェムトアンメーター等の購入・収集を行った。また、専用の試料ホルダーの設計も行い、フェムトアンメーターを用いた光電子放出に伴う電荷補償型の電流計測システムを組み上げを進めた。電子親和力を決定するには二光子-光電子放出のエネルギーを決定する必要があり、それには第一波であるポンプ光を思料に照射して価電子帯から伝導帯、またフェルミ準位近傍に電荷キャリアを有する材料では伝導帯からエネルギー的に上位に位置する伝導帯に電荷を励起させて、その電荷の寿命の時間範囲内で第二波であるプローブ光を照射して光電子放出を行う。用いるスーパーコンティニュー光源は波長にして410 nmから2400 nmの帯域をカバーできるが、紫外から可視域の光と近赤外の光を損失をなるべく少なくして分けることが望ましい。このためにビームスプリッターを検索したところ、シグマ光機社のコールドミラーが800 nmを閾値としてその長波長領域を90%以上の透過率で透過するとともに、800 nm以下の波長はほぼ損失無しに反射できること分かった。以上の実験器具から二光子-光電子放出のための光学システムを構築した。次年度となる本年度は実験試料を選定して実際に二光子-光電子放出が起こるかどうかを確認することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの流行の影響による物流の停滞によって、世界的に半導体を中心とする電子部品の不足に基づく実験器具の納品の遅延が予測されたたとともに、年度途中から所属組織の長期移動による研究時間の確保の問題が生じたが、結果的には年度内には装置の立ち上げに必要な光学部品等の実験器具から計測機器までの収集をほぼ終えており、光学定盤に器具も設置することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となるR5年度は、R4年度において購入した実験器具による装置開発を進めるとともに、年度内に実験試料を選定して電子親和力の大気下での決定を目指す。このために計測プログラムの作成も年度前半に進める。もしテストにおいて光電子放出量がフェムトアンメーターの計測限界以下とのことが分かった場合は、一端、計画を見直して低真空下での計測も試験するとともに、光電子放出の効率的な収集のための電極の開発や光電子カウンティング計測へ変更も視野に入れる。
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Causes of Carryover |
昨年度に残額が発生した最も大きな理由はスーパーコンティニュー光源のさらに高性能のものが別の予算で購入できたことである。ただし、それにも関わらず電子親和力決定に足りる光電子放出の検出が可能かどうかは未だ未知数のため、万が一電流計測が難しい場合は光電子のパルスカウンティングのシステムに移行するために実験機器の選定が必要になる。残額はこのための機器の購入に要することを想定している。次年度は予算の使用を随時見直しながら装置構成の検討を行うつもりでいる。
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