2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of spectral drill laser and its oscillation frequency measurement
Project/Area Number |
22K18979
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 誠吾 東北大学, 理学研究科, 助教 (70435634)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 伸一郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 主任研究員 (70360188)
宮本 克彦 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20375158)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 幾何学的位相 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
スペクトルドリルとはファブリペロー共振器内に複数の位相板からなる幾何学的位相シフタを配置した光学系であり、位相板を回転させることでスペクトル上の共鳴周波数を連続的かつシームレスに掃引することができる。この時の周波数軸上に等間隔に並ぶ共鳴モードがあたかもドリルの溝の見かけの運動のように動くことが名前の由来である。本研究の目標はそれをレーザーシステムに応用した「スペクトルドリルレーザー」を開発し、位相板の回転角と発振スペクトルの絶対周波数との関係から、新たな角度標準を創出することにある。従来のスペクトルドリルでは、共鳴のQ値がそれほど高くならず、共鳴周波数の不確定性があった。本研究では共振器内にさらに利得媒質を配置した「スペクトルドリルレーザー」を開発し、共鳴周波数と位相板の回転角の関係を逆に使って回転角を周波数軸から読み取る計測手法を開発することを目的としている。 スペクトルドリルレーザーの発振波長を調べるために本研究の最終段階では、光ビート周波数を読み取ることを計画している。そのため、スペクトルドリルレーザー本体の開発、構築と並行して光ビート測定時のリファレンスとなる光源を開発する必要がある。 スペクトルドリルレーザーの開発について、初年度はそれぞれの光学素子の導入とそれらを組み合わせた発振実験を行った。一方、リファレンス光源については、初年度は、その構成としてマスターレーザーとなる安定光源、ビート周波数に適合させるための非線形光学効果について検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スペクトルドリルレーザーについて、半導体レーザーチップ、幾何学的位相シフタ、反射ミラーからなる構成で、レーザー発振を確認した。特に、幾何学的位相シフタを構成するλ/2板を回転させても発振状態を維持できることが分かった。ただし、発振波長が想定よりも長波長での発振となっており、下記のリファレンス光源との波長を同調させるには短波長での発振のためミラーやチップについて再検討する必要がある。 リファレンス光源について、気体分子に周波数ロックできる市販のレーザーを非線形光学効果を利用して波長変換することで、リファレンスレーザーとして利用可能性があることが検討の結果明らかとなった。リファレンスレーザー構築のための物品の購入や選定を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
スペクトルドリルレーザーについて、発振波長を短波長にするために、レーザーチップを再度選定することを考えている。もしくは共振器の温度や共振器ミラーなど発振条件をかえることでも変わりうるのでそれらのうち有効な方法を実験的に調査する。これらのうち、一部は納期の長期化により検証が遅れているものもあるのでそれらを含め次年度、検証する。 リファレンス光源側は、市販の気体分子に周波数ロックしたレーザーを非線形光学効果を利用してスペクトルドリルレーザーと同一周波数領域での光源へと波長変換することで、安定な周波数リファレンスとする。物品の選定や調達がほぼ完了しており、機器や素子がそろい次第光源を構築する。 次年度後半では、それぞれ発生した光を合波し光ビート信号からスペクトルドリルレーザーの発振周波数を評価する。
|
Causes of Carryover |
一部の物品の金額を見積もった段階で納期が大きく遅れることが見込まれたため次年度に繰り越すことで柔軟な運用が行えるよう調整を行った。これらの次年度使用額については、物品の再選定も含め検討を行うことで次年度中には、利用完了することが見込まれる。
|