2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Lossless Transport of Slow Neutron Beam using Mganeitc Field Gradient
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22K18996
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 裕彦 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (50249900)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 中性子光学 / 中性子磁気光学 / 勾配磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
勾配磁場中で、永久磁石を平面状に配列することで表面近傍に集中した磁場勾配を構成し、当該面に対して斜入射する冷中性子ビームが、局所磁場に対する中性子スピン極性に応じて二通りの経路に分離することを検証した。この実験では原理実証を迅速に実行することに力点を置き、磁石配列規模は小規模に留めた。小規模に留めたことで、冷中性子ビームの完全分離には至っていないが、原理を確認するには十分な結果であった。この結果に基づいて、光学素子としての実用性を検討するとともに、より明確な中性子ビームの偏向を実測することを試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
勾配磁場は極めて小さな空間的領域内で実現されるため、磁場プローブによる磁場分布を計測することは困難である。そこで、磁場設計との整合性を確認するために、実際に中性子ビームの偏向を観測することとした。平面状に配列した永久磁石で当該面近傍に集中した磁場勾配を構成し、当該面に対して斜入射する冷中性子ビームが、局所磁場に対する中性子スピン極性に応じて二通りの経路に分離することを検証した。計測に用いた中性子ビームは研究炉JRR3の冷中性子ビームであり、設計通りに中性子ビームが偏向を受け、二つの経路に分離することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平面状に配列した永久磁石を用いて発生させた勾配磁場を用いて、実際に冷中性子ビームを設計通りに偏向させることができたので、今後は、光学素子としての実用性を検討するとともに、より明確な中性子ビームの偏向を実測することを試みる。
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Causes of Carryover |
試験測定の結果がほぼ予想通りであり追加的な検証は不要と判断し、今年度は実用を目指した設計作業に注力する。初年度は原理実証を早期に実行するために磁石配列を小規模に留めたため、翌年度により大規模な配列で実証が必要になる可能性があったため、それに必要な経費を翌年度に繰り越した。これまでのところ、初年度に得られた実証実験の結果は設計通りの結果となっているため、今後の詳細な解析において問題がない限り、実用的な利用の可能性を定量化する段階に研究を進める。ただし、今後の詳細な解析において何らかの齟齬が見つかった場合には、大規模な磁石配列を作成して、問題点を明らかにすることとする。
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