2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of scintillation detector with high energy resolution
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22K18997
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
柳田 健之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20517669)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | シンチレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
高エネルギー分解能なシンチレーション検出器の開発を目指し、初年度に引き続き、近赤外線の波長域におけるSm2+の5d-4f遷移の発現を目指し、幾つかの Sm 添加シンチレータを作製し、その特性を評価した。発光波長は狙い通りに 700~900 nm 近傍の赤・近赤外域に発現させることができた。昨年度までは二元系の単純なハロゲン化物に絞って基礎検討を行ってきたが、本年度では複数のカチオンを含む三元系まで試作を行った。中でもSm添加CsBa2I5は発光波長が750 nm近傍にブロードな発光ピークを有しており、Siアバランシェフォトダイオードと組み合わせて特性を評価したところ、約40000 ph/MeV の高い発光量と、4%程度の高いエネルギー分解能を示した。今回はSm濃度を1%仕込みとして検討を行ったため、今後は添加量の最適化を行う事で、より特性を向上できるのではないかと期待している。またこのシンチレータの読み出しに汎用の光電子増倍管を用いたところ、ほとんどシグナルは観測できず、近赤外発光シンチレータとSi光電変換素子の組み合わせが、検出器として良好な特性を示すことを確認できた。また付随した研究として酸化物の検討も行ったところ、Li2CaSiO4やAl4SiO8などもSm2+の発光を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度には二価陽イオンサイトを有する二元系ハロゲン化物で、Sm2+の発光が発現しやすいというコンセプト検証を行い、今年度は三元系のハロゲン化物でもSm2+の発光が発現することを確認し、既存のシンチレータ・シンチレーション検出器に比較して、良好な発光量やエネルギー分解能を達成できた。そのためおおむね目標は達せられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ホストをCsBa2I5ベースにし、CsをKやRb、BaをCaやSr、陰イオンをClやBrにしたものにSmを添加し、シンチレーション特性の評価を順次行っていく。
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Causes of Carryover |
合成に要する原料を購入する予定であったが、備蓄原料を使う事で実験の遂行が可能となったため。なお原料は潮解性を有するため、可能な限り使用する時期に購入する方が良く、今年度はそれらを購入する予定である。
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