2023 Fiscal Year Annual Research Report
Photon up-conversion promoted by molecular vibration
Project/Area Number |
22K19008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小堀 康博 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (00282038)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 三重項-三重項消滅 / 時間分解電子スピン共鳴法 / スピン変換 / 蛍光量子収量 / 強相関多重励起子 / スピン双極子相互作用 / 交換相互作用 / アップコンバージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では三重項-三重項消滅(TTA)による光アップコンバージョン(短波長変換:UC)の超高効率化を、一分子レベルの分子運動が誘起する五重項-一重項スピンフリップによって合理的に達成させる。三重項励起子の出会いにより生成する分子内多重励起子(T1T1)のスピン変換過程による一重項励起子生成機構の詳細を明らかにした。ITIC-Clと呼ばれる近赤外光を吸収するアクセプター薄膜と、ルブレンと呼ばれるTTAを起こすドナー分子の非晶性薄膜で構成される二層平面型の固体TTA-UC材料を測定対象にした。パルスレーザー光を照射しながら、材料内部に生成した反応中間体の磁気的性質を検出する時間分解電子スピン共鳴法を用いて、光アップコンバージョンの素過程で生成する励起子の電子スピン状態を観測した。その結果、ルブレン中に生成した三重項励起子によるマイクロ波の吸収 (A) および放出 (E) の信号をマイクロ秒の精度で検出することに成功した。この中間体は、近接するルブレン分子間をおよそ1nsで移動しており、二つの三重項励起子同士が最接近した際にTTA反応を起こし一重項励起子を生成することが分った。この三重項励起子は、励起子拡散による回転で分子配向をランダムに変えながら運動し、三重項励起子同士の距離や配向が時々刻々と変化することによって、特異なマイクロ波の放出信号を与えることが示された。また、TTA反応途中に形成される三重項励起子がペア (TT) となった状態のスピン多重度は、統計的な割合では11%が一重項TT (S-TT)、33%が三重項TT (T-TT)、55%が五重項TT (Q-TT) であるが、三重項励起子の運動についてモデル解析した結果、T-TTとQ-TTをS-TTに変化するスピン多重度変換が起きたことで、発光性の一重項励起子を77%におよぶ効率で生じさせていることが判明した。
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Research Products
(34 results)