2022 Fiscal Year Research-status Report
回折格子を用いた蛍光選別EXAFSによる軽元素の局所構造解析
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22K19014
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
雨宮 健太 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80313196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪田 薫穂 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 博士研究員 (80514215) [Withdrawn]
鈴木 真粧子 (酒巻) 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (90598880)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 広域X線吸収微細構造 / 蛍光X線選別 / 軟X線 / 軽元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
吸収端が軟X線領域に含まれる軽元素(炭素,窒素,酸素など)に対する広域X線吸収微細構造(EXAFS)において,異なる元素の吸収端が互いに近接しているために広いエネルギー範囲にわたる吸収スペクトルを測定することができないという原理的な問題を解決するために,軟X線の吸収量に比例して放出される蛍光軟X線を,平面結像型回折格子によって軟X線CCDカメラ上に波長分散させる(異なる波長の蛍光軟X線を異なる位置に集光する)ことで,それぞれの元素からの蛍光軟X線を選別し,元素ごとの吸収スペクトルを取得するシステムを構築した。 構築したシステムを高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・放射光実験施設(PF)の軟X線ビームライン(BL-7A)に設置し,Cu上に成膜したCo3O4薄膜試料に対して,分光器で単色化した軟X線を照射し,500-1200 eVにわたる広いエネルギー範囲を掃引してEXAFS測定を行った。蛍光選別システムの軟X線CCDカメラ上において,酸素,コバルト,銅からの蛍光X線が別々の位置に結像されることが確認され,それぞれの蛍光X線の強度を入射軟X線の光子エネルギーに対してプロットすることによって,それぞれの元素に対するEXAFSスペクトルを得ることに成功した。特に,酸素のK吸収端EXAFSは,途中でコバルトや銅の強い吸収が重なることによって通常は測定が不可能だが,本手法を用いることで酸素からのシグナルだけを選別することができ,500-1200 eVという広いエネルギー範囲にわたってEXAFSスペクトルを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平面結像型の回折格子を用いて蛍光X線を選別し,対象となる元素からの蛍光X線だけを取り込むシステムを予定通り構築し,妨害元素がある中でEXAFSスペクトルが得られることを実証できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発したシステムは,薄膜試料や表面吸着種のように,表面付近に対象となる元素が存在し,基板など試料内部に妨害元素が存在する場合に,絶大な威力を発揮する。今後はこの特長を最大限に活用し,磁性薄膜や触媒の表面に対して,これまでほとんど不可能であったEXAFSによる構造解析を実施する。
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Causes of Carryover |
平面結像型回折格子を用いた蛍光選別システムを構築するにあたり,高エネルギー加速器研究機構にある既存の真空部品や光学系駆動機構を再構成することによって,新たに回折格子調整システムを製作しなくても目的を達成することができた。 一方で,次年度以降に予定している,検出効率を大幅に向上させるためのミラーおよびその調整機構は,昨今の物価上昇によってかなり高額となっているため,次年度使用額と合わせることでシステムを構築する予定である。
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