2022 Fiscal Year Research-status Report
Ultrafast time- and frequency-resolved imaging based on FT spectroscopy
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22K19015
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
板倉 隆二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, グループリーダー (80334241)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 時間・周波数分解イメージング / フーリエ変換分光 / マルチスケールダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
極短パルスレーザーのパルス幅は光周期の数サイクルになり、様々な超高速現象の実時間計測が精力的に行われている。数サイクルパルスの周波数帯域は赤外から紫外まで 1 オクターブにわたり広がっており、物質の様々な状態(電子励起、振動励起、プラズマ)を同時にプローブするための分光光源として有用である。本研究は、時間分解、2 次元空間分解、そして周波数(波長)分解の 3 つの機能を同時に成立させ、表面もしくはバルク中のプラズマ生成や光化学反応において、実時間と実空間を分離せずに同時に可視化する計測法を確立することを目的とする。フーリエ変換 (FT) 分光の検出器を2次元検出器とし、時間・周波数分解イメージング装置の構築を行った。 令和4年度は、第一段階のテストを以下の通り行った。まず、チタン・サファイアレーザーの出力をArガスを含んだ中空ファイバー中に集光することによって広帯域化した。この広帯域パルスをマイケルソン干渉計に通した後、集光スポットをCCDカメラで画像測定し、干渉計の遅延時間に応じて、光強度が振動することを確認した。集光の回折限界は波長に比例して変わることから、波長に応じて集光サイズが変わることを予想していたが、レーザーのポインティングふらつきが集光サイズと同程度あることから集光サイズの波長依存性を確認するには至らず、課題としてポインティングのふらつきの問題を洗い出せた。 また、別の観測対象として水中のレーザーフィラメントの空間依存過渡吸収スペクトルをとるための事前準備として、チタン・サファイアレーザーの基本波、2倍波、3倍波を使ったシャドウグラフを行い、波長に応じてフィラメントのシャドウグラフが変わることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間分解のスペクトルを得るには至らなかったもののポインティングの問題が明確になったので、ポインティングフィードバックシステムの導入や観測点の像をきちんと像転送する光学系を組むなどいくつかの対策を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度構築した光学系に対して、ポインティングふらつきの対策を施した後、カラーチェッカーチャートなどを利用してテストデータを取得し、位置分解能、波長分解能など、装置としての評価を行う。 観測する実際の物理現象として、水中フィラメントについて本装置の構築によってさらに高波長分解能の測定を行い、電子密度の時空間変化やラジカル種などのモニターを試みる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は(1) 学会発表をすることができなかったこと、(2)装置構築が中心となり、実際に観測すべきターゲットに対する実験を次年度に実施することとしたことの2点である。次年度に学会参加と実験に必要な光学素子の購入を行う計画である。
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