2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K19034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 建 (アルブレヒト建) 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (50599561)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 電界触媒反応 / ナノギャップ電極 / 電気二重層 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノギャップ電極を自作するための検討を実施してきたが再現性高くナノギャップ電極を作成することは困難であった。外部の研究者からナノギャップ電極の提供を受けたため、それを用いた電界触媒反応の実施を検討すべく準備中である。 本年度は前年度に検討を開始した電界を触媒とした反応を実現するためのもう1つの手法として電極-電解液界面に生じる電気二重層に着目した研究に注力した。ジピリジルテトラジンと2,3-ジヒドロフランのDiels-Alder付加体が異性化(再芳香族化)してアルコールが生成する反応について、室温では進行しない条件であっても電気二重層を形成した電極がある場合には反応が進行することを確認した。さらに、15-35℃で反応速度を算出することでアレニウスプロットを作成し、活性化エネルギーを求めることが出来た。電界がない場合には22.5 kcal/molであった活性化エネルギーが電界を印加することで8-10 kcal/mo程度に低下することが明らかとなった。なお、印加電圧範囲では作用極、対極ともに電気分解が起きる電位ではないことを確認した。以上のことから電気二重層のような界面に生じる強い電界を用いることで、電気二重層内に拡散してきた基質が反応する際の活性化エネルギーを低下させて反応を加速することが可能であることが明らかとなった。電界を触媒として反応を加速するというコンセプトの実証が出来たものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノギャップの自作は難しいことが明らかとなった。一方で電気二重層を用いて反応系に電界を印加するというコンセプトは実証できており、一定の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
外部から提供を受けたナノギャップ電極を用いた検討を実施するとともに、電気二重層を用いて電界を印加して反応加速を実現した系について論文化する。
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Causes of Carryover |
ナノギャップ作成の自作が困難であり作成費として計上していたプレパターンの作成を行わなかったため、その費用を使用しなかった。翌年度に電気二重層を用いた電界触媒の研究に使用することとした。
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Research Products
(5 results)