2022 Fiscal Year Research-status Report
再生可能エネルギーである可視光を利用した画期的な次世代型窒素固定反応の開発
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22K19041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西林 仁昭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40282579)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | アンモニア / 可視光 / 窒素分子 / モリブデン / イリジウム / ジヒドロアクリジン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題での目標とする触媒反応を促進する鍵となる「犠牲還元剤かつプロトン源となる化合物」として、可視光を利用する光誘起電子移動錯体で活性化可能な結合解離エネルギーを有する化合物を選出して、可視光照射下で実際に触媒的アンモニア合成反応を行った所、ジヒドロアクリジンが有効であることが明らかになった。モリブデン錯体当たり30当量のアンモニアが生成した(収率約20%)。本反応は、吸エルゴン反応(吸熱反応)であり、可視光を外部エネルギーとして取り組むことで、はじめて触媒反応の進行が可能となる。実際、可視光を照射しない場合には 、アンモニアは全く生成せず、可視光照射下でのみ進行する極めて興味深い反応である。既に15N2ガスを用いた触媒反応を行うことで、15N由来のアンモニア15NH3が生成することを確認している。この達成した研究成果を踏まえて、生成するアンモニア収率の向上や量子収率の向上等を目的に反応系全体の最適化を検討する。最終的には水を「犠牲還元剤かつプロトン源となる化合物」として利用する反応系へと展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予備的知見を踏まえて、ジヒドロアクリジンを犠牲還元剤かつプロトン源として働き、可視光エネルギーを利用した触媒的アンモニア生成反応の開発に成功し、Nature Communications誌に原著論文を発表したことなどを考慮すると、当初の計画以上に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
達成した研究成果を踏まえて、生成するアンモニア収率の向上や量子収率の向上等を目的に反応系全体の最適化を検討する。最終的には水を「犠牲還元剤かつプロトン源となる化合物」として利用する反応系へと展開する。
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Causes of Carryover |
既に達成した研究成果を論文としてまとめることに時間を費やし、必要な実験の実施が遅れた。2023年度は、最終目標である水を「犠牲還元剤かつプロトン源となる化合物」として利用する反応系を実現するために、必要な実験を実施する。
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Research Products
(41 results)