2023 Fiscal Year Annual Research Report
再生可能エネルギーである可視光を利用した画期的な次世代型窒素固定反応の開発
Project/Area Number |
22K19041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西林 仁昭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40282579)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | アンモニア / 可視光 / 窒素分子 / モリブデン / イリジウム / ジヒドロアクリジン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題での目標とする触媒反応を促進する鍵となる「犠牲還元剤かつプロトン源となる化合物」として、可視光を利用する光誘起電子移動錯体で活性化可能な結合解離エネルギーを有する化合物を選出して、可視光照射下で実際に触媒的アンモニア合成反応を行った所、ジヒドロアクリジンが有効であることを昨年度までに明らかにしている。一連の研究成果をNature Communications誌に原著論文として報告した。これらの研究成果を踏まえて、生成するアンモニア収率の向上や量子収率の向上等を目的に反応系全体の最適化を検討したところ、「犠牲還元剤かつプロトン源となる化合物」として、N-メチルジヒドロアクリジンがより有効であることが明らかとなった。触媒であるモリブデン錯体基準のアンモニア生成量は最高300当量に達した。これは、前年度までに達成した触媒活性と比較して、一桁高い数値である。触媒活性が飛躍的に向上した主な理由は、一電子還元剤及びプロトン源として働いた後に系中で生成する二量体の溶解度が、ジヒドロアクリジンの窒素上にメチル基を導入したN-メチルジヒドロアクリジンを用いたことで向上することが推定される。また、N-メチルジヒドロアクリジンを用いた同触媒反応系では、量子収率も一桁向上することが明らかとなった。達成した一連の研究成果を踏まえて、最終的には水を「犠牲還元剤かつプロトン源となる化合物」として利用する反応系へと展開する予定である。
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