2022 Fiscal Year Research-status Report
ナノフェーズダイアグラムの創成にむけた原子配列構造解析法の開発
Project/Area Number |
22K19043
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今岡 享稔 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80398635)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 原子像観察 / 合金 / 金属クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はナノ-サブナノスケールでの相平衡状態図を解明することを目的としている。 まず、ナノ-サブナノスケールにおいて金属ダイマーと合金クラスターを用いて、原子のダイナミクスを観察し、画像解析に基づいて原子間距離を系統的に比較した。単一原子精度で異種金属原子を区別するために、電子顕微鏡画像の原子の明るさによる識別法(z-コントラスト)を採用、合金クラスターの原子レベルの画像解析手法を開発し、自動的に元素を識別し、結合やクラスターを区別することに成功した。 この解析結果を元素の混和性の評価に応用するため、結合数に基づくサブナノスケールの二元合金混和度図を提案した。具体的には、合金クラスターの構成元素の組成や数によって元素の混和性がどのように変化するかを視覚化した。さらに、この解析手法を原子分解能でのin-situ加熱観察と組み合わせることで、「三次元二元合金混和度図」を作成した。バルクでは全率固溶型であるWMoと、共晶型であるAuMoの二元合金系についてそれぞれ、構成元素の数、組成比、温度の三つの次元から合金クラスターの元素混和度を評価することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は2022年度内に解析方法の要素技術を確立し、2023年度に実サンプルの分析を実施、原理実証に至る計画であった。実績の概要で述べたように、すでに方法論は確立し、実サンプルの解析も開始しており、これは計画以上の進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は当初の計画通り画像データを取得し、3D状態図の作成にまで至っている。2023年度はこの手法をさらに発展させ、種々の2元素系に拡張していくとともに、理論計算との比較分析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
電子顕微鏡観察用のグリッドやサンプル作成用の蒸着ターゲットなどは研究室所有の在庫を使用することで研究の遂行ができた。これにより当初計画外であった元素の組み合わせを含めたターゲットの購入が可能になり、2023年度の研究を当初計画よりも幅広く実施できる。
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Research Products
(3 results)