2023 Fiscal Year Annual Research Report
全バイオマス由来ナノ血炭電極触媒の創製と次世代電池への展開
Project/Area Number |
22K19077
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藪 浩 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (40396255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄子 真樹 宮城大学, 研究推進・地域未来共創センター, 准教授 (70505073)
松尾 保孝 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (90374652)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | バイオマス / 金属空気電池 / セルロースナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
ホヤ殻由来セルロースナノファイバー(CNF)の大量生産に向けて、解砕条件を検討し、Kgスケールの分散液サンプルを得るプロセス開発を行なった。また、ホヤ殻由来CNFに加え、ワカメの不要部位からのCNF抽出を試みた。走査型電子顕微鏡観察の結果、CNF状のものも観察されるが、アルギン酸等の増粘多糖類成分との分離が難しいことが判明した。 ホヤ殻由来CNFと乾燥血粉、およびビタミンB12(シアノコバラミン)を混合して焼成したナノ血炭触媒をバインダーと混合して溶剤に分散させ、濾紙などに塗布することで紙と一体化した正極材料を開発した。亜鉛やマグネシウムなどの負極金属と集電体でサンドイッチすることにより、塩水やアルカリ性の水を紙が吸い上げることで発電する「金属空気紙電池」の作製に成功した。本手法はナノ血炭だけでなく、炭素系の触媒材料一般に使用できることから、鉄アザフタロシアニンを炭素に担持した触媒系でも実証を行い、論文として報告した。 また、3Dプリンタで作成したセルを用いて、亜鉛空気電池の正極触媒としての実証実験を行い、カーボンアロイ触媒として十分や放電性能と、短期的な充放電特性が得られることを証明した。これはナノ血炭触媒が、酸素還元反応(Oxygen Reduction Reacyion, ORR)触媒としての機能と、酸素発生反応(Oxygen Evolution Reaction, OER)触媒としての両方の特性を持つことに起因することを明らかとした。このことはホヤ殻由来のバイオマス由来材料から作製した正極触媒が、金属空気電池の触媒として十分機能することを示した初めての例である。
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