2022 Fiscal Year Research-status Report
Chalenge to use of six-electron redox reaction of sulfur for Al-S batteries
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22K19085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑畑 進 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40186565)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 蓄電池 / 硫黄正極 / アルミニウム負極 / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
AlCl3-NaCl-KCl溶融塩中に溶解した硫黄は、6電子の酸化還元反応を示す。硫黄とカーボンナノチューブの複合電極でも両反応が確認できた。この発見を基に、次に示す実験を行った。( I ) Sの6電子レドックス反応が起こることを確認した電解液であるAlCl3-NaCl-KCl溶融塩を用いると、アルミニウムの電気化学的電析・溶解を行えることを確認した。この事実は、この電解液を用いることで、硫黄正極とAl負極を組み合わせた蓄電池を作製できることを意味する。硫黄のレドックス反応に伴う硫黄種の溶出を防ぐために、種々の硫黄複合電極を作製しレドックス反応を行うことにより、硫黄の6電子酸化還元反応をある程度安定に行えるいくつかの組み合わせを見つけることができた。( II ) S4+ + 4e- = Sの反応が120℃で起こることを( I )の研究でわかったので、その反応が進行可能な温度範囲を調査した。中温溶融塩であるAlCl3-NaCl-KClと低温溶融塩であるAlCl3-塩化イミダゾリウムを混合することにより、融点を徐々に降下させたところ、100℃以下においても硫黄の6電子酸化還元反応が起こることを確認した。ただし、反応速度の低下が見られたので、イオン拡散速度を促進させる電解液の選択が今後の課題になりそうである。( III ) 容量密度が突出している硫黄の6電子反応を他の蓄電池系へも応用することを想定し、イミダゾリウム系やアンモニウム系のイオン液体でもレドックス反応を試してみた。反応速度の差異はあるものの、反応は起こることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硫黄の6電子酸化還元反応は、高温溶融塩中で確認できている現象である。それが中温溶融塩中でも確認できた事実は大きい。硫黄のレドックス反応を正極に、アルミニウムの電気化学的析出・溶解反応を用いた蓄電池の作製については、ほぼ目途がついた状況は、計画通りに研究が進捗していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」に記した3つの事項について、それぞれ以下の視点で研究を継続する。(Ⅰ)リチウム-硫黄電池の研究で、硫黄種の溶出を防ぐために種々の硫黄複合電極が開発されている(メソ孔カーボン-硫黄、カーボンナノチューブ-硫黄、不規則炭素材料-硫黄など)。加えて申請者自身も室温で使用するAl-S電池の研究の中で種々な炭素-硫黄複合体を調製しているので、それらを巧く利用することでより安定な電池を構成していく。(II)温度をより低温化するためには、イオンの拡散速度を低下させずに融点を降下させる必要があり、それが可能な電解液を探索する。(III)他の蓄電池へ展開するには、電解液のチョイスが要となるので(II)の研究の中でその視点をもって研究を行う。
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