2022 Fiscal Year Research-status Report
固体電解質への新たな応用展開を生み出すゼオライトバルク体の構造設計と特性評価
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22K19089
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 元秀 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (80222305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 光弘 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (80332865)
橋新 剛 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (20336184)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ゼオライト / 固体電解質 / 組織制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の初年度となる昨年度は、代表的なゼオライトであるA型やX型のゼオライト、それにゼオライトの中でも構造に大きな異方性を有するL型ゼオライトを最初に取り組む研究対象ターゲットゼオライトとし、その配向化実現プロセスならびにその緻密化実現プロセスについて検討を行った。配向化に関しては、以前から注目し予備検討を進めていた磁場配向プロセスが有用であることを明示した。ゼオライトが示すイオン交換性を上手く利用し、磁性希土類イオンならびに磁性3d遷移金属イオンをゼオライト構造のミクロ細孔内に導入することで、それら磁性イオン未導入試料の配向化に対して必要とされる磁場に比べ、きわめて低い強度の磁場を用いたプロセスでL型ゼオライトの配向性を任意に制御できることを見出した。一方、緻密化に関する検討では、水熱ホットプレス法と呼ばれる水熱反応処理中に試料を一軸方向から加圧するプロセスによりゼオライトを緻密化させることができ、95%程度の相対密度を示すA型やX型ゼオライトの作製が可能であることを見出した。微細構造を評価したところ、水熱ホットプレス処理を施すと、粒子界面が判別し難いような組織が形成されることを走査型電子顕微鏡を用いた観察から明らかにした。また、一部の試料の高温での電気的特性を交流二端子法を用いて評価したところ、温度の増加とともに導電率の値は増加し、試料によっては固体電解質への応用上望ましいとされる導電率を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表的なゼオライトであるA型およびX型の緻密体試料を作製することに成功し、その作製試料の相対密度を95%程度まで高めることができたことに加え、磁場配向プロセスを用いて配向性を制御できることを見出し、本研究で目指す「固体電解質への新たな応用展開を生み出すゼオライトバルク体の構造設計」に対し有益な知見を得ているとともにさらに詳細な検討の実施も期待できることから、現在までの進捗状況を(2)おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの検討結果を踏まえ、他のゼオライト種にも展開するとともに、これまでに作製した試料を用いて特性評価に注力しながら、固体電解質への新たな応用展開を生み出すゼオライトバルク体の構造設計を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画では磁気回路を購入する予定にしていたが、現有のより性能が低い磁気装置で昨年度検討した物質に対しては利用できそうな状況であったため、購入することを一時的に留まり、より大きな試料の作製を可能とする回路の導入を計画するとともに、昨年度の成果から様々な物質への展開性が示唆され、今後の研究の進捗を見ながらその展開性を検討する予定である。
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Research Products
(13 results)