2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a cellular analysis technology based on conditional IEDDA reactions
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22K19096
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水上 進 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30420433)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | IEDDA反応 / テトラジン / 大環状構造 / 刺激応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
逆電子需要型Diels-Alder(IEDDA)反応は、無触媒かつ圧倒的な速さで進行することから、様々な分野での応用が期待されているクリック反応の一つである。我々はこれまでに、大環状構造を持つtetrazineを外部刺激で開環させることでIEDDA反応の進行を制御するシステムを開発している。このシステムを応用して、細胞内蛋白質濃度の光制御を行うことを目的として、光応答性IEDDA反応の開発および細胞内蛋白質濃度の光制御技術開発を目指している。令和5年度は、以下の(i)および(ii)の研究を行った。 (i) 光応答性IEDDA反応の開発:光応答性保護基o-nitrobenzyl基をリンカー中に組み込んだ3種類の化合物PTz1、PTz2、PTz3を開発した。ニトロベンジル基が大環状構造に含まれるPTz1はその剛直な構造のためか光切断は起こらなかったが、大環状構造の隣接部位にニトロベンジル基を有するPTz2,PTz3においては、光照射により速やかに開環し、trans-シクロオクテン(TCO)存在下でIEDDA反応が速やかに進行した。 (ii) 細胞内蛋白質濃度の光制御技術の開発:前年度までに開発したPROTAC化合物中のジヒドロ葉酸還元酵素(eDHFR)リガンドを光応答性リガンドへと置き換えた化合物(photoPROTAC)を新たに合成した。合成したphotoPROTACは、365 nm光照射におけるZ体比率が78%、560 nm光照射によるE体比率が98%であった。eDHFR-EGFPを安定発現するHEK293細胞に終濃度1μMのphotoPROTACを添加した後、紫色光を照射したところ、緑色光照射時は暗所下と同様に標的蛋白質の分解はほとんど進行しなかったが、eDHFR-EGFP量が53%まで減少することがウェスタンブロットから示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光応答性の大環状テトラジン開発については、難航していた化合物の合成が進行し、着実に当初の目標に近づいている。またフォトクロミックリガンドを応用したphotoPROTACシステムを用いた細胞内蛋白質分解については、完全な分解は達成できてはいないものの、約50%の分解を達成しており、本年度中には大きな進捗が見られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した光応答性の大環状テトラジンユニットをベースとした光応答性PROTACシステムを完成させることで、細胞内蛋白質濃度の光による精密制御を目指す。
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Causes of Carryover |
一部の実験について、研究期間を延長し、次年度に行う予定となったため。
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