2023 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス変異体での細胞感染性に寄与する受容体糖鎖の解明
Project/Area Number |
22K19116
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 智典 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00162454)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / 新型コロナウイルス / 糖鎖プライマー / 糖鎖プロファイリング / 相関解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物細胞におけるインフルエンザウイルス(IFV)や新型コロナウイルスに対する感受性および糖鎖プライマー法を用いた糖鎖プロファイリングを行った。ウイルス感染実験に用いる複数種類の細胞に3種類の糖鎖プライマーを相互作用させて、各細胞に発現する糖鎖構造を解析し、糖鎖パネルを作成した。IFVでは初年度にH1/H3亜型での評価を実施し、今年度は鳥IFVであるH5/H7/H9亜型に対する細胞間での感受性をRT-PCR法により評価した。細胞への感染性はA型IFVの主要な亜型間で違いが見られ、特に将来的なパンデミックが危惧されているH7/H9亜型では他の亜型と比べて感染効率での大きな変化が見られた。各細胞での感受性と発現糖鎖との相関解析では、H1/H3/H5亜型で高い相関係数を示した糖鎖と、H7/H9亜型で高い相関係数を示した糖鎖は異なっていた。さらに、新型コロナウイルスに対する感受性試験では、Sタンパク質を提示した擬似ウイルスppSARS-CoV-2を用いて評価を行った。武漢株とオミクロン株では、Sタンパク質にアミノ酸の変異が確認されている。そこで、武漢株とオミクロン株間での糖鎖認識性が異なっていることが予想された。事実、武漢株とオミクロン株では細胞への感染効率が異なり、細胞の感受性の序列も変化していた。発現糖鎖との相関解析により、ウイルス感染性と高い相関性を示した糖鎖が見出された。特に、3株に共通の糖鎖や、武漢株やオミクロン株に特徴的な糖鎖が特定された。本成果は、ウイルス変異株の感染能力への理解と感染阻害剤の研究開発に貢献すると考えられる。
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Research Products
(4 results)