2022 Fiscal Year Research-status Report
高強度テラヘルツ波によるクロマチン構造変換誘起と放射光を用いた機構解明
Project/Area Number |
22K19122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 昌彦 東北大学, 農学研究科, 教授 (70218642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保科 宏道 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (10419004)
藤井 健太郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, チームリーダー (00360404)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | テラヘルツ光 / 細胞核 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、THz光による新規ゲノム機能制御技術の創出に挑戦するものである。クロマチンや細胞核の構造によって制御されるゲノム機能は、細胞の様々な機能や高次生命機能の発現に重要である。THz光がタンパク質の高次構造形成を誘導することから、これによりクロマチンや細胞核の構造変化を引き起こすことによるゲノム機能制御技術の創出を目指している。これまでにアクチン水溶液に対して、様々な波長、パルス幅、強度のTHz光を照射し、ピレン標識アクチン水溶液の傾向を標識することによってTHz光照射のアクチン重合への影響をリアルタイムに解析した。その結果、THz光照射がアクチン重合に影響を与えることが確認できたことに加えて、波長やバルス幅などによってその効果が異なることも明らかになった。また、同様な実験を再構成ヌクレオソームに対して行うための予備実験を行っている。さらに、ヒト培養細胞に対して、様々な条件でTHz光を照射し、ブレオマイシンなどの抗がん剤などで生細胞に導入したDNA二本鎖切断の修復を観察した。DNA二本鎖切断の挙動は、切断部位のヌクレオソームに特異的なgamma-H2AXに対する抗体を用いて解析した。その結果、THz光がDNA二本鎖切断の修復のプロセスに影響を与える可能性が示されたため、さらに詳細な解析を行っている。また、タンパク質や細胞へのTHz光の影響を放射光を用いて解析するために、解析に用いるタンパク質や細胞の調製方法を検討し、さらに予備的な放射光測定も実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクチン水溶液へのTHz光照射により、アクチン重合へのTHz光照射の影響が確認でき、またこの実験系が再構成クロマチンへの影響解析にも応用できる可能性が示された。また、培養細胞への照射によって、THz光照射がゲノム機能に影響を与えている可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アクチン重合へのTHz光照射の影響が確認できた実験系を用いて、再構成クロマチンへ構造へのTHz光照射の影響を詳細に解析する。また、培養細胞へのTHz光の照射によって、THz光照射がDNA二本鎖切断の修復にどのような影響を与えるかについて詳細に観察し、その解析には放射光も活用する。
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Causes of Carryover |
細胞にTHz光を照射しDNA損傷修復を観察したところ、THz光の波長による違いが観察された。THz光照射による細胞機能変化メカニズムを詳細に解析する前に、THz光波長依存性の確認を行う必要が生じたため、予定していた実験の一部を次年度に行うこととなり、そのため、次年度使用額が生じた。
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