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2022 Fiscal Year Research-status Report

多犯性植物病原菌の植物認識機構を介した感染戦略の解明

Research Project

Project/Area Number 22K19176
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

竹本 大吾  名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30456587)

Project Period (FY) 2022-06-30 – 2025-03-31
Keywords多犯性病原菌 / 灰色かび病菌 / ファイトアレキシン
Outline of Annual Research Achievements

極めて広い宿主範囲をもつ多犯性の病原菌が知られている。代表的な多犯性植物病原菌である灰色かび病菌(Botrytis cinerea)は、果物、 野菜を含む1400種以上の植物に感染することが報告されている。この様な多犯性の病原菌はどの様な感染戦略で、多様な植物の抵抗性を打破して感染を確立しているのだろうか? 本研究では、1) 灰色かび病菌の抗菌物質の解毒化や耐性化に必要な遺伝子群の機能解析、2) 灰色かび病菌が植物の抗菌物質を認識するメカニズムの解明、3) 灰色かび病菌の病原性関連遺伝子群の起源の解析、を進めることで、多犯性病原菌のもつ特異な感染機構とその進化機構を解明する。本年度は、灰色かび病菌にジャガイモ由来のリシチン、ブドウ由来のレスベラトロール、ピーマン由来のカプシジオールなどを処理した灰色かび病菌のRNAseq解析から、それぞれに応答して活性化される遺伝子群の機能解析を進めた。特にカプシジオールを脱水素により解毒化するBcCPDHとリシチンを排出するトランスポーターであるBcAtrBの機能解析を進め、これらが標的となるファイトアレキシンを生産する植物への感染時に特異的に機能する病原性因子であることを明らかとした。また、リシチンを酸化反応によって解毒化する複数の酵素遺伝子を特定した。さらに、BcCPDH相同遺伝子の真菌での分布、灰色かび病菌と他のBotrytis属菌のゲノム比較により、BcCPDH遺伝子が遺伝子水平移行によって灰色かび病菌にもたらされたことを示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、灰色かび病菌がカプシジオールやリシチンなどのナス科植物が生産するファイトアレキシンに対抗して解毒および排出する機構を解明することができた。また、病原性遺伝子の灰色かび病菌および近縁種における分布の解析、灰色かび病菌と近縁種のゲノム比較による特異的遺伝子のリスト化およびそれら遺伝子の発現解析、灰色かび病菌のアグロバクテリウムを介した形質転換法の確立など、今後の計画に必要なデータ解析および実験手法の確立がおおよそ完了した。これらの進行状況から、おおむね順調に進展している、と判断した。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、1) 灰色かび病菌の抗菌物質の解毒・耐性化に必要な遺伝子群の機能解析、2) 灰色かび病菌が植物の抗菌物質を認識するメカニズムの解明、3) 灰色かび病菌の病原性関連遺伝子群の起源の解析の3つの目標を軸に研究を進める。
1) 上記のファイトアレキシンに加えて、アブラナ科植物のブラシニン、マメ科植物のグリセオリン処理した灰色かび病菌のRNAseq解析も完了している。そこで、これら2種のファイトアレキシンの解毒化や耐性化に必要な遺伝子群の機能解析も進める。これまでと同様にa. 抗菌物質耐性の無いエンドファイト菌に候補遺伝子を導入、抗菌物質の解毒・耐性化における機能の調査する、b. 候補遺伝子の破壊株を作出し、抗菌物質耐性および病原性における役割を評価する、という2つの実験法を併用する。
2) カプシジオール応答性遺伝子のプロモーター活性をLucマーカーで検出する形質転換体を既に作出している。この形質転換体を用いて、カプシジオール応答性が低下した変異株を単離し、灰色かび病菌が植物の抗菌物質 を認識する機構を明らかにする。本年確立したアグロバクテリウムを用いた形質転換法を用いて、カプシジオール応答に必要な情報伝達因子の遺伝子を単離する。
3) 計画1-2で単離した病原性因子が進化の過程でどのように獲得されたかを明らかにするため、灰色かび病菌に近縁な多犯性病原菌である菌核病菌 Sclerotinia sclerotiorumや特定の植物種に感染する同属のBotrytis菌における相同遺伝子の分布を調査する。a. 近縁種間で保存されている垂直伝播によって維持されてきた遺伝子群については、遺伝子座の構造比較解析を行う。b. 遠縁の微生物から水平伝播によって獲得された遺伝子は、その起源と移行した時代を明らかにする。これらの解析から、灰色かび病菌が多犯性菌となった進化プロセスの解明を目指す。

Causes of Carryover

若干の残額が出たため、次年度の消耗品の支出等にあて、引き続き計画どおりに研究を推進する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Leaf blight of rice-paper plant, Tetrapanax papyrifer, caused by Neofusicoccum parvum: a potential source of stem rot diseases of mango and grape2023

    • Author(s)
      Ashida Akira、Takushi Tetsuya、Camagna Maurizio、Sato Ikuo、Chiba Sotaro、Takemoto Daigo
    • Journal Title

      Journal of General Plant Pathology

      Volume: 89 Pages: 179~184

    • DOI

      10.1007/s10327-023-01116-6

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Botrytis cinerea identifies host plants via the recognition of antifungal capsidiol to induce expression of a specific detoxification gene2022

    • Author(s)
      Kuroyanagi Teruhiko、Bulasag Abriel Salaria、Fukushima Keita、Ashida Akira、Suzuki Takamasa、Tanaka Aiko、Camagna Maurizio、Sato Ikuo、Chiba Sotaro、Ojika Makoto、Takemoto Daigo
    • Journal Title

      PNAS Nexus

      Volume: 1 Pages: pgac274

    • DOI

      10.1093/pnasnexus/pgac274

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] カミヤツデなどの雑草に感染する多犯性Neofusicoccum parvumはマンゴー軸腐病やブドウ胴枯病の発生源となる2023

    • Author(s)
      芦田晃, 澤岻哲也, 佐藤育男, 千葉壮太郎, 竹本大吾
    • Organizer
      令和 5 年度日本植物病理学会大会
  • [Presentation] ベンサミアナのレポーター形質転換体を用いたジャガイモ疫 病菌RXLR型エフェクターの活性検出2023

    • Author(s)
      芦田晃, 今野沙弥香, 佐藤育男, 千葉壮太郎, 竹本大吾
    • Organizer
      令和 4 年度日本植物病理学会関西部会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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