2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a parental CRISPR system for insect gene editing
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22K19179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大門 高明 京都大学, 農学研究科, 教授 (70451846)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 昆虫 / CRISPR / 節足動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、成虫注射によって昆虫のゲノム編集を行うparental CRISPR法の学理を構築し、本法のさらなる効率の向上、多用途化、適用可能範囲の拡大を実現させることを目的としている。2023年度は以下の研究項目を実施した。 (1)「難インジェクション昆虫」における実証試験:従来法(卵への注射)ではゲノム編集が著しく困難であった、カメムシ目昆虫の2種において、DIPA-CRISPR法によるゲノム編集の最適化を行った。諸条件の最適化の結果、両方の種において30-40%のゲノム編集効率を達成することができた。この効率は完全に実用レベルのものであり、カメムシ目において今後スタンダードな技術として普及していくものと期待される。 (2)Cas9エンジニアリング:市販品に依存するというDIPA-CRISPRの限界を打破するために、Cas9の精製法を改善し、Cas9の内製化を達成した。これによってCas9のエンジニアリングが自前で(=代表者のラボで)可能となった。可溶化タグ、DNAテザリングタグ、卵移行タグをCas9に搭載することにより、DIPA-CRISPR法を超えるノックイン効率でparental CRISPRが可能となった。 (3)高効率なノックイン法の開発:上記の改変型Cas9を用いることにより、parental CRISPR法によるノックイン法の向上が見られることを明らかにした。市販品のものと比較して約4倍の高効率となった。 (4)適用範囲種の拡大:DIPA-CRISPRによるゲノム編集に成功していないハエの1種において、卵移行タグの搭載によってゲノム編集個体を得ることに成功した。成功は1例のみであるが、今後の条件検討により効率を改善させることができるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究項目のそれぞれについて順調に研究が進捗していることに加えて、当初計画を超えた進捗(*)がみられたため。 (*)当初計画にはなかったCas9の内製化を達成し、さらにCas9のエンジニアリングによってノックアウト効率、ノックイン効率の顕著な向上を実現させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたDIPA-CRISPRの研究成果を2024年度中に数報の原著論文として公表する予定である。また、Cas9エンジニアリングの研究成果の公表にむけて、さらに追加実験を行う。
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Causes of Carryover |
研究成果の公表のためにさらに精緻な実験が必要となり、研究期間を1年延長したため。
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