2023 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the mechanism of pine cone opening and closing motion using novel pretreatment techniques and structural analysis
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22K19203
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
堀川 祥生 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90637711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 俊幸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10178858)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | セルロース / マトリックス成分 / 赤外分光分析 / 階層構造 / 水 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的にも良く知られている「松かさ」は湿度に応じて開閉する。これは種子を散布するため、セルロースの微細構造が鱗片の運動を制御している。しかし、セルロース以外の細胞壁成分の役割は未踏領域である。以上の背景から、本研究では特定の構成成分のみを除去する前処理技術を駆使し、松かさの屈曲機構の解明を目指した。 2022年度は松かさ鱗片の階層構造を維持したまま非セルロース成分を除去する化学処理方法を確立した。2023年度はその屈曲評価を行った。飽水時、未処理の松かさでは鱗片基部が閉じる方向に湾曲し、続いて乾燥させると松かさが開く方向に屈曲した。これを再度飽水・乾燥させるとそれに伴い屈曲が再現された。脱マトリックス処理した松かさ鱗片に関して、飽水時は未処理試料と同様であったが、興味深いことに乾燥させると、異常なほどに開く方向に湾曲した。続いて再飽水しても乾燥時のまま変化が起きなかった。一般的にセルロースは乾燥させると表面にあるヒドロキシ基が互いに水素結合を形成することで角質化が起きる。つまりマトリックス成分の除去および水が消失することで鱗片の運動性が消失したと考えられる。化学処理を温和な条件にし、主にヘミセルロースを含めた非セルロース多糖成分を除去した試料を調製し、同様の実験を行うと未処理の松かさ鱗片と同様の挙動を示した。またセルロースおよびその誘導体のレオロジー的な解析にも取り組んだ。 以上の結果から松かさ鱗片の屈曲はセルロースの配向を含めた微細構造が制御しているが、マトリックス成分も重要な役割を担っており、多糖よりもリグニンを含めた成分が屈曲角度および屈曲の再現性を制御していることを強く示唆していた。
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