2022 Fiscal Year Research-status Report
Monitoring bacteriophage DNA in aquaculture sites to predict fish bacterial diseases
Project/Area Number |
22K19214
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉田 照豊 宮崎大学, 農学部, 教授 (20240294)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | Lactococcus garvieae / Seriola quinqueradiata / ファージ / qPCR / Nocardia seriolae / Seriola dumerili |
Outline of Annual Research Achievements |
○ブリ養殖場より、現在流行しているII型レンサ球菌のビルレントバクテリオファージを数種類分離することに成功した。またこのファージのゲノム解析をしたところ、分離したファージはほぼ同じ遺伝構造をしていた。このファージを用いて、教室に保存しているII型レンサ球菌300菌株のファージ型別を行ったところ、感受性の型と非感染型の2種類のファージ型別が可能となった。 ○II型レンサ球菌が流行する時期に、効率的に今回分離できたファージを分離することができた。流行時とファージの分離時期がほぼ重なると考えられた。ファージのゲノム解析から、Shiphoviridaeに分類されることが判明した。また、電子顕微鏡による形態観察の結果も同様であった。今回分離したII型レンサ球菌に特異的に感染するファージは、すでに発表したI型レンサ球菌に感染するファージと非常に類似した遺伝構造を有していた。しかしながら、II型ファージはI型及びIII型レンサ球菌に感染せず、血清型II型の菌株に特異的であると考えられた。 ○ブリ類養殖において、大きな問題となる感染症であるノカルジアに感染するファージの分離に成功した。電子顕微鏡観察から分離したファージの形態は、非常に尾部の長いShiphoviridaeに分類されるファージであった。これらのファージのゲノム解析に成功した。その結果、すでに報告のあるGordoniaに感染するファージと非常に類似したものであった。詳細なゲノム解析の結果、特定のある部位に遺伝構造の違いが認められた。今回分離したファージは、ブリの細菌感染症であるNocardia seriolaeだけではなく、他のノカルジア属細菌にも感染し、宿主範囲が広いことが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
○今回初めて、養殖環境から2大ブリ類の病原体であるLactococcus garvieaeとNocardia seriolaeに感染する2大ファージの分離に成功した。 ○分離した2大ファージの完全長のゲノムを明らかにした。この結果は、これらファージDNAを検出することで、間接的に2大疾病の動向を予測することができる可能性がある。そのために今後は、qPCRあるいはPCR系を開発し、ファージDNAの検出を試みることにしている。また、これらのファージは年間を通して分離されるが、ノカルジア及びレンサ球菌の感染が流行している際に、効率的に分離することができた。今後は定量的にその分離効率を上げる必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
○海水から、効率的にファージDNAを分離する方法を検討する。特に海水からファージを分離する方策を検討する。海水に凝集剤を添加する凝集剤添加法あるいは市販されている環境DNA分離用のカラム等を検討する。 ○今回分離されたII型レンサ球菌に特異的に感染するファージ及びNocardia seriolaeに感染するファージのゲノム情報からqPCR系を構築する。 ○構築したqPCR系を用いて、養殖場における海水から2大疾病に感染するファージDNAを検出する。 ○養殖場における感染症の流行とファージ分離について、直接分離法とqPCRあるいはPCR系を用いた検出系で調査する。
|
Causes of Carryover |
年度末ギリギリまでファージゲノムの塩基配列解析用(シークエンスの解読)に予算(外注)を残していたが、結果を得るには年度を越すことが判明したために、次の年度に回すことにした。ファージDNAの完全長の詳細解析には1ヶ月以上かかるために、2回ほどゲノムを読む委託をしなくてはならず、その予算を最後まで残していた。本年度は、前年度に残った予算も合わせ、なるべく早く解析ができる準備をしている。
|