2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K19225
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上田 晃弘 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (10578248)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 植物生育促進微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物生育促進作用を持つ微生物由来揮発性物質を同定し、それを用いた植物倍速栽培技術開発の素地を作ることを目的とした。植物-微生物間接的相互作用機構は直接的相互作用と比較すると理解がほとんど進んでいない。近年、植物と微生物は互いに放出する揮発性物質が間接的相互作用の鍵物質として機能していることが分かってきた。本研究では、微生物が放出する揮発性物質のうち、植物の生育促進に資する揮発性物質を同定し、農業利用するための研究を行った。様々な環境から土壌や水、植物のサンプリングを行い、そこに自生する微生物の単離を行った。その後、単離した微生物とシロイヌナズナを閉鎖系容器内で接触しないように隔離共培養することで、シロイヌナズナの生育を促進する微生物群の単離や微生物種の同定を行った。間接的にシロイヌナズナの生育を促進した微生物から放出される揮発性物質について、ガスクロマトグラフ-質量分析器(GC-MS)による定性分析を行った。その結果、60種類以上の微生物由来の揮発性物質の同定に成功した。同定された揮発性物質のみを用いたシロイヌナズナの栽培試験を行ったところ、シロイヌナズナの生育を促進する物質以外にも生育を抑制したり、生育に影響を与えない物質も含まれていることが分かった。このことは微生物から放出される揮発性物質は単一ではなく複数であることや、その組み合わせによって植物に対する生育促進効果が発揮されるものであると考えられた。シロイヌナズナの生育促進に資する微生物由来揮発性物質は他の作物でもその効果が確認できるものもあったことから、今後さらに研究を進めることで新規な植物成長調節剤を開発することができると期待される。
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