2023 Fiscal Year Research-status Report
プロトンのシグナル減衰特性を活用した新たな地すべり災害リスク評価法の探索
Project/Area Number |
22K19228
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木村 匠 琉球大学, 農学部, 准教授 (10794498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 真也 琉球大学, 農学部, 教授 (30336359)
野田 翔兵 西日本工業大学, 工学部, 講師 (30749289)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 地すべり災害 / 降雨浸透 / プロトン / 間隙径分布 / 地質構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
短時間豪雨の地すべりで甚大な災害が毎年のように発生しており,「降雨地すべりの発生予知」が学術的・社会的課題である。この問いに対して,地すべりの浸透特性と地下水挙動の関係を明らかにするため,非破壊法の核磁気共鳴(NMR)法を用いる。NMR法は,医療用MRIとして利用されている。同技術を応用したNMR検層では,水分子(プロトン)からのシグナルが減衰する時間(緩和時間)を捉えて間隙径が得られ,透水性を計算できる。NMR検層は石油・ガスや地下水の資源量調査に活用されているが,地すべりの浸透特性と地下水挙動との関係に対して未踏である。本研究ではNMR法による間隙径・透水性評価実験で水がどのように地すべり内を浸透するかを決定し,新しい地すべりのリスク評価法を提案する探究的研究を行う。令和5年度は以下の研究活動を実施した。 現地調査を行い,堆積岩分布地域の試料採取を行うと共に,変成岩分布地域での新たな豪雨災害地域で予備調査を実施して試料採取地を確定した。採取した試料の一部と標準の砂岩試料について,X線CTデータを取得した。堆積構造を確認することができる試料もあり,風化変成岩の片理構造も捉えることができる可能性を見出した。NMR実験では,標準の砂岩試料で透水実験を行い,採取した試料の予備実験を進めた。採取した試料の一部について,粒度分析による粒度分布と粒度組成を得た。また,鉱物分析を行って物理性と鉱物特性の基礎データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の実施計画に基づいて,現地調査を実施してNMR実験用サンプルの採取と新たな災害地での採取予定地を確定することができた。一部試料について,X線CTデータを取得した。昨年度に研究基盤の整備を進めたNMR実験では,標準サンプルとして砂岩試料の透水性データ取得を実施した。当初の計画通り進めることができたことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査を進めて,実験用サンプル採取と新たな災害調査地を確定することができた。採取した試料は非破壊のX線CT分析を先行して行い,順次NMR実験を行う。試料の物性値を得るために粒度分析等のデータ取得を行う。
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Causes of Carryover |
本研究課題は3年で計画しているため,新たな災害地での調査に対応できるよう調査費が主な次年度費用が生じた理由である。さらなる現地調査と実験用サンプル採取を行うと共に3年目の研究計画に沿って,研究課題の遂行のために予算を使用する。
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