2022 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルスの新規受容体同定と細胞内侵入機構の解明
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22K19240
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 晋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10636757)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | A型インフルエンザウイルス / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
A型インフルエンザウイルスの細胞内侵入機構は、ウイルス表面のヘマグルチニン(HA)が細胞表面糖鎖の末端にあるシアル酸受容体介して感染する経路が知られている。我々はこれまでに、シアル酸ノックアウト細胞を作製し、様々なインフルエンザウイルスを感染させると、ウイルスが増殖することを明らかにした。この結果はインフルエンザウイルス感染にはシアル酸非依存的な細胞内侵入機構の存在を示唆している。そこで、本研究ではこのインフルエンザウイルスの未知受容体をゲノムワイドスクリーニング等で同定し、インフルエンザウイルスの新規細胞内侵入機構を解明することを目的とした。 本年度は、シアル酸ノックアウト細胞を用いてCRISPR/Cas9法によるゲノムワイドスクリーニングした。まずVero細胞のシアル酸トランスポーターSLC35A1をノックアウト(KO)した細胞を作製した。この細胞にレンチウイルスベクターでgRNAライブラリーを導入し、ランダムノックアウトした細胞ライブラリーを作製した。次にシアル酸KO細胞馴化ウイルス感染させ、耐性化した細胞を選択した。さらに耐性化細胞にインテグレートされているgRNAを次世代シーケンサーで網羅的に解析した。このスクリーニングを2回実施した。その結果、それぞれ12、20個の遺伝子が同定された。それぞれ上位の6個の遺伝子について、改めてgRNAを設計した。今後はこれら遺伝子のKO細胞を作製し、耐性化のメカニズムを解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り候補遺伝子の同定することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定した遺伝子のKO細胞を作製し、耐性化のメカニズムを解明する。新規受容体候補を同定した後は、細胞レベルでの増殖性の評価をする。また動物個体レベルでは、新規受容体のノックアウトマウスを作製し、生体内でのウイルスの増殖性や病原性における新規細胞内侵入機構の重要性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ゲノムワイドスクリーニングに用いるgRNAライブラリーを新規購入予定であったが、これまでに使用したライブラリーを用いることが出来るようになり、新規購入しなかったため。
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