2022 Fiscal Year Research-status Report
体細胞におけるコヒーシンの異所性発現による減数分裂模倣系の構築
Project/Area Number |
22K19248
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
李 智博 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (50372660)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 減数分裂 / 生殖細胞 / 配偶子 / コヒーシン / 体細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,減数分裂特異的コヒーシンサブユニットの異所性発現により,体細胞において相同染色体の連結を促す減数分裂模倣系の構築を目的としている。そのため,Tet-Onシステムを利用して,市販のNIH3T3 Tet-On 3G Cell Lineに,Rad21L cDNAを挿入したpTRE3G-ZsGreen1ベクターを導入し,ドキシサイクリン(Dox)添加によるRAD21Lと緑色蛍光タンパク質(ZsGreen1)の発現誘導を行うことを試みた。しかし,上記のコンストラクトと薬剤耐性遺伝子を取り込ませて,ピューロマイシン存在化で形成された細胞コロニーを分離し薬剤誘導性のRAD21L発現細胞株を樹立する際に,細胞のコンタミがあったために,クローン細胞株としては樹立できていない。Doxの添加により,ZsGreen1とRAD21Lの発現が誘起されることは確認されているので,再度同じコンストラクトを用いて,クローン化された発現細胞株の樹立を試みる。 REC8とRAD21Lに結合しているタンパク質を調べるために,本研究ではRad21L-3×FlagとRec8-3×Flagの2種類のノックインマウス(KI)を準備して,免疫沈降法と質量分析により相互作用タンパク質を同定することを試みており,結果も出始めている。それと並行して,減数分裂型コヒーシンサブユニットの生殖細胞における発現量はこれまで知られていなかったので,KIマウスの精巣抽出液を材料にFLAGタグに対する抗体でwestern blot法により両者の発現量を調べた。その結果,第一減数分裂前期の前半までは,RAD21LとREC8はほぼ等量発現しており,両方を合わせると,既報の体細胞のコヒーシンの発現量よりも一細胞当たりの発現量が多いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
薬剤誘導によるRAD21L 安定発現細胞株を樹立する過程で,細胞コロニーをピックアップする際に他の細胞も混ざってしまったために,クローン細胞株としてRAD21L安定発現細胞株を得られていないことから,実験結果の評価に影響が出ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
RAD21L 安定発現細胞株の樹立実験をもう一度行い,細胞コロニーをピックアップ後,クローン化できていない場合には,限界希釈による単一細胞としてクローン化することを検討する。また,同時に,その他の減数分裂特異的コヒーシンサブユニット発現のためのコンストラクトも作製し,複数種のサブユニットの同時発現を試みる。
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