2023 Fiscal Year Research-status Report
新規リポソーム再構成法による膜電位、膜張力依存的イオンチャネルの作動機構の解明
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22K19263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木瀬 孔明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任准教授 (70769611)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | イオンチャネル / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者独自の新規リポソーム再構成法とクライオ電子顕微鏡を組み合わせることによって、既存の技術では不可能であった電位、膜張力依存性イオンチャネルの静止膜電位下、膜張力のかかった状態での構造を解明し、それらのチャネルの開閉(ゲーティング)機構の理解を目的とする。 脂質二重膜から構成された生体膜に存在し、膜電位や膜張力変化によって制御されるイオンチャネルは、脱分極や機械的な物理刺激を受けることによって特異的なイオンを膜の内外へ選択的に通し、電気活動や細胞内シグナル伝達、膜内外のイオン組成の維持に寄与する。 電位依存性イオンチャネルの構造はクライオ電子顕微鏡によって多数明らかにされてきたが、膜領域が界面活性剤かナノディスクで覆われた状態であるため、膜電位 0 mVの状態を捉えているに過ぎない。静止膜電位条件下での構造を明らかにするために我々は、電位依存性イオンチャネルをリポソームに再構成し内外のイオン組成を調節することで静止膜電位を作り出す新規技術を開発している。 リポソーム再構成効率を上げる条件の検討を行うにあたって大量のタンパク質量を確保できる点から、バクテリアの電位依存性ナトリウムチャネルNavAbを用いた。リポソームをソ二ケーション、凍結再融解法にて生成する方法を樹立した。均一の膜曲率を持ったリポソームを作製するために、extruderを用いて、リポソームの径を揃える工夫をした。さらに、グリッドの氷にリポソームを効率よく閉じ込めるための方法を見出した。現在は、次なる段階としてリポソーム内外の電位差を作るために、イオノフォアとイオン組成の条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオンチャネルをリポソームに再構成し、クライオ電子顕微鏡用のグリッドサンプル調製法を開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
電位依存性イオンチャネルのリポソーム再構成に際して、イオノフォアとイオン組成の条件を検討し、リポソーム内外の電位差を作る。膜張力依存的イオンチャネルにも着手する。
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Causes of Carryover |
クライオ電顕でのデータ解析を行ったところ、当初の想定に反し、実験に必要となる試料の種類が当初の想定よりも多く必要であることが判明した。次年度は、試料の種類の追加に対応するため、クライオ電顕用の試料調製を追加して実施する。
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