2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a method for determining celebral infarction sites by serum omics analysis
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22K19280
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 義宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (90401231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 玄志郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (70710250)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / プロテオミクス解析 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中は介護を必要とする原因疾患の中で最も頻度が高く、脳卒中全体の4分の3は脳梗塞が原因である。急性期に梗塞部位を高精度に診断できることは治療方針の決定に極めて重要であるが、障害部位を同定可能なCTやMRIなどの画像的診断には容態の安定しない患者の撮像の難しさや、ハードウェアリソースの問題がつきまとい、より迅速かつ安価に梗塞部位を同定し、治療方針の決定に役立てられる技術開発が求められている。本研究では、脳梗塞によって損傷を受けた神経から逸脱するペプチドには部位特異性が存在するという仮説をベースに、血液検査のみで脳梗塞部位を診断可能とすることを目指している。今年度はマウス血清のプロテオミクス解析を行い、脳梗塞部位を診断可能とする血清の前処理方法の検討を行った。マウス血清を取得し、通常のプロトコルに従い行ったプロテオミクス解析結果および陽イオン交換樹脂による前処理を行うプロトコルに従い行ったプロテオミクス解析結果を照合した。その結果、前処理を行わない場合に比べ、前処理を行った場合には観測されたタンパク質分子種が2倍弱程度に向上することが明らかとなった。本研究では、主成分分析などによって、脳梗塞部位を高い精度で判別できるペプチドマーカーセットを同定することが鍵となるため、測定可能な分子種を大幅に向上可能とする手法の確立によって、次年度において行うプロテオミクス解析による脳梗塞部位の同定手法の開発に大いに活用するが可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血清プロテオミクスを行うためのサンプル調製方法の検討を行うことにより、測定可能分子種を向上させることに成功し、本課題を遂行可能とする技術基盤を構築できた。本課題では主成分分析などによって梗塞部位を高い精度で判別できるペプチドマーカーセットの同定を目指しているため、測定可能分子種を大幅に向上させることにより、その精度を高められることが示唆されたため、本課題がおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の測定結果において血清アルブミンが幅広い分画に高い検出感度で存在していることが明らかとなった。測定可能分子種をさらに向上させるためには、血清アルブミンの除去が必要と考えられるため、次年度においてはアルブミン除去カラムの検討などを行う必要がある。また、現段階においても、梗塞部位の同定が可能となるマーカーセットが得られる可能性もあるため、中大脳動脈塞栓モデルでマウスの脳に部位の異なる脳梗塞を用意し、採血後、プロテオーム解析を行う検討も随時進めていき、マーカーセットの同定を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度において大規模なデータ取得を計画しており、その研究計画遂行のために次年度使用額が生じている。次年度中に全ての予算を執行し、データ取得を行う予定である。
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