2023 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経シグナルを介した細胞量調節メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K19303
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 淳太 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80431500)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 膵β細胞 / 細胞量制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
臓器や組織の細胞は、環境や状況に応じ、最適な量に調節されている。たとえば、インスリン産生細胞である膵β細胞は、肥満や妊娠などのインスリン需要増加に対応するために増殖し増加する。一方、需要が低下すると元の量まで減少する。研究代表者は、肥満によって全身のインスリン需要が増加した際に膵β細胞量を増やす神経ネットワーク経路を発見した。また、肝傷害後の修復早期の機序として、肝を支配する迷走神経による肝内マクロファージ制御による肝細胞増殖システムを発見した。しかし、これらの際に細胞量が適切な量まで増加する機序や需要が低下した際の細胞量減少の機序は不明なままである。そこで、本研究提案では膵β細胞を例に、増加-減少両面から、生体内で需要に応じて組織の細胞量が調節されるメカニズムを解明することを目的とする。 妊娠時にはインスリン需要が増加し代償性に膵β細胞量が増加する一方で、出産後には膵β細胞量は元の量まで戻るが、その減少メカニズムは不明である。研究代表者は妊娠・出産後の膵島にマクロファージが著明に浸潤していること、このマクロファージの浸潤を阻害すると出産後の膵β細胞量減少が抑制され元の量に戻らなくなることを見出した。さらに本課題において研究を進め、産後膵島にマクロファージが浸潤するメカニズムについて鍵となる分子をいくつか見出し、また、マクロファージが産後膵β細胞の減少に関わるメカニズムも明らかにし、論文として発表した(Deveopmental Cell 2023;58:1819-1829)。
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