2023 Fiscal Year Research-status Report
個体寿命に影響を与えず生殖寿命の長さを決定するメカニズムの解明
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22K19305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 征光 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (20422389)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 生殖寿命 / 線虫 / 脂質代謝 / ギャップ結合 / カルシウムチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続き生殖寿命延長を示すイネキシン変異体の解析を続けた。野生型とイネキシン変異体の若い成虫をもちいてRNAシーケンス解析をおこない、イネキシン変異体で発現変動を示す遺伝子群を同定した。その結果、イネキシン変異体では熱ストレス応答遺伝子群やリソソーム酵素遺伝子といった、これまでに個体の寿命の長さに寄与する遺伝子群が顕著に発現変動することを見出した。そこでこれらの遺伝子群とイネキシン遺伝子との遺伝学的相互作用を調べたが、これらの遺伝子群はイネキシン変異体における生殖寿命延長には寄与していなかった。そこで代謝経路にフォーカスしたパスウェイエンリッチメント解析をおこなったところ、数十もの脂質代謝遺伝子が発現低下を示すことを見出した。これらの遺伝子群の変異体から生殖寿命延長を示す変異体を探索したところ、再現性よく生殖寿命延長を示す変異体を1系統同定することができた。この変異体は寿命の延長示さないことも見出した。また、この脂質代謝遺伝子の上流および下流遺伝子の変異体は生殖寿命延長を示さなかったことから、特定の脂質代謝産物量の変動が、生殖寿命特異的に作用する可能性が示唆された。 イネキシンに加え、スクリーニングで単離されたもう一方の変異体の責任遺伝子があるカルシウムチャネルであることも同定した。この変異体も個体の寿命の延長を示さなかった。この変異体での遺伝子発現変動を調べたところone carbon cycleに関与する複数に遺伝子群が顕著に変動していることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イネキシン変異体の解析より脂質代謝と生殖寿命のとの関係が示唆されている。ヒトやマウスでも高脂肪食や肥満が生殖機能に密接に関与していることが報告されていることから興味深い知見を得つつあると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
概要で述べた生殖寿命を延長示す変異体群の解析を進める。理想的には生殖寿命に寄与する代謝産物の同定を目指したい。
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Causes of Carryover |
ほぼ完全に計画通りし224円というわずかな差が生じた。この差額は2024年度に使用予定である。
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Research Products
(6 results)