2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating regerenation ability of sacoglossan sea slugs
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22K19311
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
遊佐 陽一 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (60355641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 訓史 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (00403577)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 嚢舌類 / 自切 / 再生 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
他に類をみない嚢舌類の自切・再生現象の総合的理解を図るべく,4つの研究課題を設定し研究を推進した。 1)再生プロセスの遺伝学的解明:幼若個体から老齢個体までの齢のコノハミドリガイに自切を誘導し,自切しない個体をコントロールとして,その後の再生プロセスを詳細に追跡することを試みた。ただし,コノハミドリガイの飼育が安定せず十分な実験個体数が得られなかったため,他に実験に適した種を数多く探索し,チドリミドリガイがもっとも実験室内での飼育が容易で,現時点でのモデル生物として適切だと判断した。チドリミドリガイで再生に関わる遺伝子を特定するため,自切後の再生部位からRNAを抽出し,十分量のRNAが得られることを確認した。 2)自切部位と器官・組織の再生:コノハミドリガイを用い,自切面より前や後ろのさまざまな位置で自切を誘導し,自切部位とその後の再生との関係を調べた。自切面より後部の場合は問題なく再生することが明らかになった。 3)盗葉緑体との関係:コノハミドリガイで自切を誘導し,強光と弱光,および餌の有無を組み合わせた4条件が再生に及ぼす影響を予備的に調べた。盗葉緑体による光合成が再生に関わることが示唆された。 4)嚢舌類の系統における自切・再生能の進化:嚢舌類およびその姉妹群である有肺類の多くの種を野外から採集し,大規模再生の可否を調べた。嚢舌類の複数種で大規模再生がみられたが,有肺類では嚢舌類のような大規模再生はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コノハミドリガイの飼育がうまく行っていないものの,チドリミドリガイなどを代わりに用いて,ほぼ当初の予定通り研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,コノハミドリガイの完全飼育を試みつつ,チドリミドリガイ等で研究を進める。次年度は最終年度であるため,嚢舌類の自切・再生現象の総合的理解を図るべく,4つの研究課題すべてを進める予定である。
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Causes of Carryover |
コノハミドリガイの飼育が安定せず,遺伝子解析の実験の大部分を延期したため。同様に,サンプルが得られなかったため,共同研究者との研究実施にかかる出張も延期した。
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