2022 Fiscal Year Research-status Report
オスにおける生殖腺刺激ホルモン非依存的な性成熟の神経メカニズムの謎に迫る
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22K19326
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
馬谷 千恵 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60779346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 花奈 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (10806615)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 真骨魚類 / 精巣 / 神経ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖腺の成熟は次世代を残すために必要不可欠であり、脳下垂体で放出される生殖腺刺激ホルモンと、視床下部で放出される生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンの発見以降、これらホルモンが生殖腺の成熟を制御していると一般的に考えられていた。しかし近年、様々な脊椎動物でこれらホルモンノックアウト個体の解析が行われ、オスノックアウト個体が受精能を保有することが報告されてきた。そのため、脊椎動物のオスの精巣はこれらホルモンを介さない制御も受ける可能性が示唆されているものの、その分子機構は不明である。そこで本研究では、遺伝子ノックアウトオスメダカで精巣機能不全が引き起されることを発見した神経ペプチドに着目して、新たな精巣機能制御機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、脳で発現する神経ペプチドであるニューロペプチドFFのノックアウトメダカのオスにおいて、生殖腺の退縮や機能不全が観察されたことから、ノックアウト系統における遺伝子発現解析を行った。その結果、成熟精子の産生に関わる遺伝子や、体細胞特異的に発現する遺伝子の一部が、神経ペプチドのノックアウトにより、発現変動することが明らかとなった。また、WTオスの性ステロイドホルモンである、11-KTの血中濃度を測定したところ、朝よりも夕方に濃度が高いことが明らかとなった。そこで、夕方において、WTオスとノックアウトオスの血中11-KT濃度を測定したところ、ノックアウトオスで血中濃度が低いことが明らかとなった。ニューロペプチドFFは精巣において発現していないことから、間接的にこれら機能に関与していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精巣機能不全となるKO系統に関して解析した論文が掲載されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
受容体のノックアウトを作出するとともに、その下流の神経回路の同定を進める。
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Causes of Carryover |
一部の遺伝子改変メダカの作出に少し時間を要しており、解析を次年度にずらしたため。
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Research Products
(7 results)