2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K19328
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水多 陽子 名古屋大学, 高等研究院(WPI), 特任助教 (70645142)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 花粉 / 発生 / イメージング / 極性 |
Outline of Annual Research Achievements |
花粉は被子植物のオスの配偶体である。花粉の発生過程では、小胞子と呼ばれる1細胞が不等分裂し、大きな栄養細胞が小さな雄原細胞(精細胞の前駆細胞)を包んだ状態となる。このように花粉の発生では、1細胞から栄養細胞と雄原細胞という、機能も運命も全く異なる2つの細胞が作られる。しかし、その発生過程については未だ不明な点が多い。研究が進んでいない原因の一つとして、従来の観察や研究手法では詳細な解析が困難であったことが挙げられる。本研究では、申請者独自の花粉の観察手法を用い、花粉の発生過程の詳細な解析を行った。本年度は蛍光タンパク質の配列を含むプラスミドを構築し、形質転換体の作製、またはボンバードメント法を用いた一過的な遺伝子導入により、花粉の細胞内構造や細胞内器官、極性などを可視化した。可視化した花粉の発生過程の観察には、共焦点顕微鏡を用いた。その結果、花粉発生過程における細胞内構造や、極性形成の過程を明らかにすることができた。また、花粉の発生を妨げる阻害剤を添加し、各器官の働きや分裂などのイベントに与える影響を調査した。さらに、花粉の発生過程における各イベントに影響を与える遺伝子を発現するプラスミドも構築し、花粉発生に与える影響を調査した。取得した画像を定量的に解析することで、導入または添加した要素が、細胞分裂や運命決定に与える影響やタイミング、順序、必要性などの一部を明らかにすることができた。得られた成果の一部は学会、および和文総説にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は植物材料やプラスミドの構築、および顕微鏡観察を概ね予定通りに進めることができた。得られたデータの解析についても一部を進めることができた。全体として概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見をもとに、次年度はまだ観察していない細胞内構造について可視化し解析を行う予定である。また、細胞極性についても解析する遺伝子を増やし、 遺伝子および各イベントとの関連性を明らかにする予定である。画像取得で得られるデータが膨大なため、今後は画像解析や要素の定量化、統計学的な解析も並行して進める予定である。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国内学会がオンライン開催となったため、旅費は使用しなかった。購入予定として備品費および消耗品費として計上していた物品や試薬については、所属研究室の移転と再編により、新たに購入する必要がなくなったため。また、次年度の研究をより加速するために優秀な技術補佐員を雇用することとなり、次年度の人件費が当初予定していたより多く必要となったため。次年度は必要な消耗品類の購入と、技術補佐員の雇用を予定している。また、論文執筆および発表に係る経費も予定している。
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Research Products
(3 results)