2022 Fiscal Year Research-status Report
種子の防御と散布のためのエネルギーコスト:繁殖資源分配研究の新視点
Project/Area Number |
22K19347
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
衣笠 利彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80403377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 真平 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (90400308)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 種子 / 翼果 / 堅果 / 液果 / 資源分配 / 繁殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
クルミの殻やカエデ類の翼といった、種子の防御や散布のための付属的構造(以後「種子付属体」)の生産コストを評価し、種子/付属体への資源投資戦略の種間差を解明する。また、種子/付属体への資源投資戦略の種間差に、種による種子の構成コストの違いや付属体の機能の違いが関わっているかどうか検証を試みる。生産コストは、バイオマスだけでなく、窒素量や構成コスト(燃焼熱)で評価する。これにより、繁殖への資源投資戦略における種子付属体への投資の重要性を解明する。 2022年は、研究分担者と分担し、27種の木本種の果実(種子および種子付属体)を採取し、それぞれの種子および種子付属体の乾燥重量を測定し一部サンプルの窒素分析を行った。採取した果実の内訳は、液果13種、堅果7種、翼果7種であった。これら27種を合わせて分析したところ、種子重量と付属体重量には有意な正の相関が認められた。しかし付属体/種子乾重比は種によって0.08(ヒマラヤスギ)から4.35(オニグルミ)まで大きくばらつき、付属体の機能(防御:堅果、誘引:液果、飛翔:翼果に大まかに3分)による明確な違いもみられなかった。種子重量は堅果で他より明らかに大きかったが、液果と翼果には明確な違いはみられなかった。 2023年は引き続き木本種の果実を採取して分析対象種を増やすとともに、バイオマスに加えて窒素および燃焼熱を測定し、種子/付属体への資源投資戦略についてエネルギーコストの面から分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年は27種の植物サンプリングを行い、バイオマス測定を行う事ができた。また燃焼熱測定のためにカロリーメーターの修理を行い、試運転により正常稼働することを確認した。2022年のサンプリング結果を踏まえ、2023年に採取する種の選定を完了している。以上から概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年は、2022年のサンプリング結果を踏まえ、系統分類学的な偏りを低減するよう10種程度の追加採取を予定している。また2022年に採取した種とあわせて、窒素および燃焼熱測定を行うことで必要な測定は全て完了する。燃焼熱測定は茨城大学設置のカロリーメーターを使用する予定であるが、測定の効率化のために、鳥取大学の分析センターに設置されている熱量計の使用も検討する。
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Causes of Carryover |
差額が生じた理由は、茨城大学設置のカロリーメーターの修理調整費用が予定よりも少なくて済んだことが一因だった。修理内容は修理を始めないと確定しないとのことで、修理前に正しく見積もることは困難だった。もう一つの理由は、植物サンプリングに必要な旅費が少なくて済んだため。これはアクセスしやすい近隣で採取できる植物を優先的に採取した結果であり、これによって短期間にある程度の植物サンプルを得ることができた。 差額は、2023年の植物採取の旅費に一部使用する計画である。2023年は2022年にサンプリングできなかった種を採取するため、遠方に採取に向かうことになる。また熱量測定の効率化のために、茨城大学設置のカロリーメーターに加え、鳥取大学の分析センターに設置されている熱量計の使用を計画しており、そちらの使用料および消耗品に充てる予定。またサンプル処理の迅速化のために、アルバイトによる分析補助にも充当したいと思う。
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